
(絵は矢田部涼子さんです。)
【縄文の夜】
幾千、幾万のとしつきを越えた
過ぎ去りし時代。
日本は、縄文の平和を
長い時をかけ、作り上げた。
日本列島は、龍神の作りし島国。
そこに、海外からの渡来びとを
引き寄せ、受け入れ、
住まわせた。
出自の異なる異民族が
それぞれに小国を作り、
豊富な大自然の恵みをいただき、
それぞれの生活圏を認め合いながら、
共存する社会。
そこには、中央集権的な大国家もなく、
王もおらず、
村がひとつの国のごとくに
自立した自治を行っていた。
そこにあったのは、
大自然の中で生かされる
小さき民たち。
素朴なアミニズムの文明であった。
やがて、時が満ち、
西方より現れし王が
九州の地に降臨し、
日本で初めての
大きな国家を作り上げた。
その過程において、
大調和の教えを「大和(ヤマト)」の名に込めて、
小国をひとつにまとめた。
それは幾年にもわたる大事業。
何代もの王がそのために働いた。
その伝説は、物語となり、神話となった。
神話の時代は縄文の神代の時代。
巫女が神の言葉をつぎ、
人々は自然の恵みに生かされた。
人々は目に見えぬ神を信じ、
山川草木すべてに
神の臨在を感じた。
人々の心の目が開かれていた。
神を呼ぶ祭りがあり、
人々は踊り、歌い、
酒を飲み、
神を崇めた。
しんしんとふけゆく夜に
ぽっかりと浮かぶ三日月。
山々が不思議な光を放つ、
そんな平和な、縄文の夜。
よっくる(^-^)/