【アイはリンネする①】
アイという魂が
この世に生まれてくるときに、
肉体を授かるんだよ。
肉体は魂からみれば、
この世をわたる乗り舟なんじゃ。
魂が乗る舟を、肉体を作ってくれたのは、お母ちゃんとお父ちゃん。
お母ちゃんとお父ちゃんが愛し合って、ひとつにつながり、肉体の種をお母ちゃんのおなかの中に宿すんじゃ。
そして、その種がお母ちゃんのおなかの中で育ってきたら、そこに魂が乗り込むんじゃ。
そうして、お母ちゃんのおなかの中で、とつきとうかを過ごし、この世に生まれてくる。
それをみんな、誕生というておるんじゃ。
いいかい、お前たち。
みんな、この世に生まれる前は、
魂なんじゃ。
アイという魂が、天国でこの世に生まれる順番を待っているんじゃ。
この世に生まれると、天国のことは忘れてしまうがの。
おばあちゃんくらいの年になると、あの世からお迎えが来よるから、いつでも帰れるように、少しずつ、天国のことを思い出し始めるんじゃよ。
おばあちゃんな、この前も、夢の中で天国の扉まで行って来たんじゃ。
もう帰ってもいいかと聞いたら、ダメじゃと言われたがの。
もう少し孫の世話をしてから、帰ってくるように言われたが。
孫ってのは、もちろん、お前たちのことじゃが、お前たちの友達とか、同じ頃に生まれた子供たちのお世話もせいと言われましての。
おばあちゃん、目がまるうなりましたがな。
へえ、まあ、私にできることがあれば、何でもやらしてもらいます、言うて、帰って来たがの。
そんなことで、まだまだお前たちとはつきあわせてもらいますよ。
さあ、今日はもう、お眠りなさい。
…おや、もう夢の国に船出したようだわの。
いい夢をみんしゃい。
(「おばあちゃんの玉手箱」より)
よっくる(^-^)/