6月に母が施設に入ってから7月末までは週に一度、月曜日夕方から火曜日にかけて外泊届けを出して実家に連れて帰っていたが、コロナが再度感染拡大してからは外泊が禁止となりできなくなった。


面会は出来るので週一位で行っている。


母は至って元気で、この夏の酷暑を思うと本当に施設入所出来ていてよかったと思う。



ということで、実家は現在空き家状態となっている。



私の実家は伝統的建造物群保存地区となっているのだが、これがまた厄介で、家を勝手に修繕工事したり壊したり出来ないことになっている。


私には亡くなった兄の奥さん(義姉)と兄の子供が3人(甥)いるのだが、兄や父が亡くなった時にこの厄介な家の名義変更が済まされていなかった。


名義は父と兄。


今年から相続登記の義務化が始まり、実家の名義を誰にするのかで疎遠となっていた義姉と揉めた。


ややこしい古い実家など誰も欲しがらない。


毎年の固定資産税と前栽の葉刈り代や電気代、水道代等を払っていかなくてはいけない。



それに裏庭の草取りも大変だ。



もう、母がここで暮らすことは無いように思える。


もちろん、母が元気な内は時々実家で過ごす時間を作ろうと考えているが、戻ってここで以前のように暮らす事は出来ないと思う。


誰かがこの家の整理をしていかないと、と思うと、やっぱり私しかいない。


すごく悩んだ。


私がもし亡くなったら、この売るに売れないような実家を引き継ぐのは私の子供たちである。


子供たちにも相談した。


そうしてあれこれ悩んだ末、私の名義にすることに決めた。


義姉はそれから(私が実家を相続すると聞いた途端)態度が一変し、本当に腹立たしかった。



7月に名義変更も終わり、ボチボチと片付けをすることにしている。


が、この夏の暑さには動きが取れず、思うように片付けは進まない。


それでも玄関に飾っていた屋久杉の衝立、真剣ではない刀、掛け軸、等を古物商の人に来てもらって買い取ってもらった。




屋久杉の衝立は40年位昔に買ったもので、結構なお値段だったらしいが、今は大きな衝立の需要が殆ど無いらしく本当に二束三文だった。

それでも男性が2人がかりでも運び出すのに難儀していたのを見て、とても私には扱える代物ではなく、持って行ってもらえてよかったと思った。



本も沢山あり段ボールで送って買取屋に出したりしたが追い付かず、買い取り業者に来てもらうことにした。



400冊以上は、あったろうか。

買い取り金額は5000円だった。


本は殆ど父の物で宗教物が多かったが、買い取り値段はさて置き、全部持って帰ってくれたので、本当にスッキリとした。


兄のレコードもついでに買い取ってもらったが何十枚かはあったろうに、たったの1000円だった。 




今までの実家で買い取ってもらった総額は3万円。


でも、捨てるよりはまし。




実家を整理していて、30数年前に亡くなった父や兄のことをとても近くに感じた。


特に父に関してはそんなに思い出すことはなかったのだが、父の古書の中に埋もれていた戦時中を生きた証のような物を見つけたりした。


母が結婚前に父に送った手紙もあった。

若かりし頃の母をおもんばかる。 




私ももう直ぐ65歳となる。


片付けをしながら、人の一生はなんと呆気ないものかと思い知る。