ぶうにゃんの
コンサートツアー最終日





難波の国に行く
新幹線の車窓からは
雪景色が見えた。


そのせいか
スピード自慢の近代車両は
徐行区間があり
到着が10分ほど遅れた。


こんなこともあろうかと
少し早目に出掛けたので
慌てることなく
目的地に開場30分前に辿り着いた。


ホール入り口には
未だ人影はなく
慌てなくても
プログラムは買えそうだと
胸をなでおろす。


徐々に開場を待つ人が増え
いよいよ入場。


先ずはプログラムを購入。
次いでロビー?内を見渡して
フライヤーを探す。

公演前の予定行動を終え
クロークにダウンコートを預けた。


会場内のクロークを使ったのは
初めてだったけど
ダウンコートはがさばるので
眼鏡やチケット、
メモ帳だけ持って
着席した。



場内は満席だった。
でもよくよく見ると
ポツリポツリと
主の無い席がある。


もしや
今回の地震で
楽しみにしていたこの日を
諦めなければならなかったのかも…
と思うと
席に座れたことが
本当に奇跡のように
有難いことだと思えた。


お席は
F列だったから
真ん中より前ではあったものの
左端から2番目で
ピアノに対峙するぶうにゃんの
貴公子の如き背中しか
見えないなあと思った。


でも、
この日を無事に迎え
着席できたことに
心から感謝した。


心優しき天才ピアニストぶうにゃんも
今日までの日々を思って
胸を痛めたり
様々な事に感謝したり
何度も経験した
開演前のトキメキや
高揚感に包まれているのかな?
控室で出番を待っているだろうな。




何年か前の雑誌に
舞台に出る扉を開ける瞬間は
とても怖いと仰せだった。

もしかしたら
私のドキドキより
もっと胸が締付けられるような
言葉にならない時間を過ごしているのかな。



…と思っていたら
パイプオルガンの音色が流れ
公演中の注意点が放送された。


その中に
客席から
花束やプレゼントを渡すことは
ご遠慮ください
と、いう文言があり
あぁ、良かったと
胸を撫で下ろした。



照明が幾つか落ちる前
携帯電話の電源を切りながら
いつか又…
こうして客席で
ワクワクすることが
できるだろうか…と
ドキドキが止まらない胸を
抑えました。


改めて
年明け早々の災害を
痛ましく残念に思い
怪我や病気から立直った
ぶうにゃんのように
頑張る勇気が届くといいなあと
思いました。