誰もが認める

超高級フルーツと言えば

今まではマスクメロンだった。



今や

庶民の味方だった筈の

気の置けないフルーツも

結構なお値段の物が出没している。



絵に書いて

顎に入れ

茶の間に飾ったような

一般peopleの我が家なれど

義母からの慣習で

朝フルーツを頂く。



野菜はめっきり

季節感が失われつつあるが

それでもフルーツは

一瞬の煌めきの如く

店先に並び

あっという間に姿を隠す物がある。


しかし

今年はなにやら不穏な空気が漂う。



お買い物は

仕入れのついでに

お館様が見繕って

買ってきてくださる。



今日は高くて

手が出なかった…

と言う日がある。



葡萄の次は柿かなあ

その次は

林檎と蜜柑だなあ…と

食いしん坊丸出しで

買い物籠を覗くけど

見当たらない事が増えた。




そんな時は

これこれ!


このばっは翁は

私の最高級フルーツだ。



機械仕掛けのような

精密緻密な手の動きだけでも

うっとりするけど

身体の動きもまた格別。



ピアニストの方々は

指、手首、肘、肩だけでなく

身体全体で演奏なさるのだと

痛み入る。



素晴らしい!

bravoなのだ。




ひとつ

残念なのは

この超高級フルーツは

お館様には伝わらない。



私が口角泡を飛ばしながら

知りうる限りの単語で

懇切丁寧に感動を伝えるも

暖簾に腕押し

馬の耳に念仏なのだ。



口惜しい。



パキパキした柿、

美味しいけど

いつ食卓にら並ぶやら…



ひとおもいに

缶詰の黄桃を開けようか。

お仏壇から

ひとつ、頂くのも

致し方ない理由があるのだと

故人に言ってみよう。



ぶうにゃんのばっは翁は

超高級フルーツだけど

お館様の食後を

彩る事は

できそうもない。