いかにも
貴婦人然とした装飾の
譜面台。
鍵盤が
少し黄ばんで見えるのは
本物の象牙だから?
この、
『本物』ってヤツが
実年紳士ぶうにゃんに
似合っちゃって
似合っちゃって
しょうがない。
今は条約で
象牙の輸入は禁止されている。
人工象牙も
かなり本物と遜色ない
指感触らしい。
ただ
この指感触を追求すると
鍵盤がすり減るのが
早くなるのだそう。
又、色落ちも早く
汗が滲みて黒鍵の塗料が染み出し
黒く変色したことも
あるそうだ。
このブリュートナーは
恐らく
当時の最上質の象牙だったんだろう。
はて?
最初の持ち主さんは
このピアノと
お友達になれたのだろうか?
刷り込みというのは
こういうものだと思うけど
どうも
あの動き難そうな
ウェストを絞って
張りのあるペティコートを纏い
お提灯袖を膨らませたドレスでは
ペダルもようよう踏めないのでは?
と思えて仕方ない。
優雅にティータイムを
楽しみながら
ピアノのレッスンをしたのか?
浜松の楽器博物館で見た
日本製の古いピアノの両脇に
燭台があった。
電気が無い時代だから
蝋燭の灯を頼りに
弾いたのだろうと
触れてはいけないピアノを
頑張ったね…と
撫でてあげたくなった。
あのピアノの鍵盤も
クリーム色だった。
重ねた時間は
人間と同じように
見た目を変化させてゆくんだなあ。
ピアノに寄り添うぶうにゃん。
素敵に時を積み上げてくださったと
拍手喝采したくなる。
心の底から湧き出た
実年紳士の笑顔が
美しい。
ここはやっぱり
アンダンテ・スピアナートと
華麗なる大円舞曲だろうと
動画サイトを開く。
忘れちゃいけない
とっておきのおやつは
チョコレート工房の逸品
あぁ
ぶうにゃんにも
届けたい。

