ステージに当たる

ライトに映える

ぶうにゃんの手。



人差し指が躍るのは

どの鍵の上だろう。



未だ汗は光っていない。


産毛が

少し逆立っていて

緊張しているのか

興奮しているのか。



ぶうにゃんの手は

雄弁だ。






脳の何処かで

弾く曲を決めれば

そのまま指先に司令が行き

胸の高鳴りをスパイスにして

豪華で濃密な演奏になる。



…と私は思っている。



いや

そうとしか聴こえない。



だから

ぶうにゃんの

よく使い込まれた

陶磁器のような手を見ると

それだけで

その日のテーマソングが

鳴り響く。




この手は

1990年発売の

バッハリサイタルのCD

裏ジャケット?という言い方で

いいのかしら?



このお写真が好きで好きで

今も私の携帯の待ち受けに

なっている。




雄弁な手は

時には慰めてくれるし

又ある時は

ただそっと

そこに居てくれる。



産毛をなぞりながら

泣いたり笑ったりするのは

生きているって事だね…

と、呟く。



私の人生は

平和なのだ。



この頃のぶうにゃんは

思う通りに

演奏できた…と言ってた。



神業なんだろうな。



私ももう直ぐ

神様の弾くピアノを

聴きに行きます。