元帥の
協奏曲1番である。
何度聴いても
聴き飽きることがない
…どころか
聴くたびに
胸が詰まり
胸が締め付けられ
涙が出そうになる。
最近は
涙腺は元より
体内の水分放出の為に溜め置く
容量が小さくなったのか
頻繁に色々な水分が
排出されるのではあるが…。
動画サイトの協奏曲1番。
この12分を過ぎた頃になると
もういけない。
パブロフ現象とも言うべき
落涙が止まらなくなる。
大好きな左手が
美しく軽やかにピアノを操る。
シンデレラが
12時の鐘を聞きながら
宮殿の階段を駆け下りるように
ぶうにゃんのピアノが
転がり落ちてくる。
そう思い始めると
その箇所に近づくだけで
シンデレラのブルーのドレスが
頭に浮かぶ。
譜面を読めないと
ど素人は
音楽を絵や物語に
脳内変換する。
ご丁寧に
総天然色で
その時のご馳走もはっきり夢想する。
プリンス・チャーミングの
白い礼装と共に
シンデレラの美しい姿を
ぼんやり思い描く。
オヤツは
バターたっぷりの
スコーンやビスケット。
当然真っ赤なお紅茶も用意する。
ただ、
大好きな所を過ぎると
協奏曲は
どんどんシンデレラから
離れてゆく。
第三楽章などは
温かいハッピーエンドというより
ジャンヌ・ダルクが似合う。
慌てて
ビスケットを紅茶で流し込み
戴き物のフィナンシェを探す。
あ……
ぶうにゃんの
絶品カデンツァが終わってしまう。
こんなことをしているから
体重は増え続け
覚えたことを片っ端から忘れるのだ。
ぶうにゃんが
協奏曲を弾いてくださったら
鼻先に
ぷ~んと
お菓子と紅茶の香りが
しそうだ。
いつかホールで
ぶうにゃんの
協奏曲を聴ける日が
くるだろうか……。
大切な夢は
大切に胸に仕舞っておこう。
