恐れ多くて
触れるなんて
できませんっ!
触ることは勿論
触れることさえ
許されない
この
近代ピアニストの中でも
一二を争う
見目麗しく、
確かな天分を持ち
その上
努力を厭わない
類い稀な
崇高なる生き方の実践者
はぁ〜〜
今聴いているのは
元帥の協奏曲一番。
ぶうにゃんが
モーゼの十戒宜しく
オーケストラの音の海を
二つに割るかの如く
パァーーンと
最初の和音を
シャープに弾く。
ぶうにゃんの演奏は
日本の昔話より
神話や聖書が
よく似合う。
だから
バッハ翁なのかしらん。
貧しい身なりで
布教活動すると言うより
神話に近い
信じ難い場面に
よく似合う
ドラマティックな
演奏ではないか!
と
他の方々のピアノは
ほぼほぼ聴かない
天下御免の
ど素人ミーハーファンは
狂喜乱舞する。
又
あのスラリとした
背高のっぽで
生活の乱れが見えない体躯に
モーゼの法衣が
似合いそうだと
碌でも無いことばかり
考える。
できれば
着古して黄ばんだ物でなく
しっかり
お洗濯した法衣に
して欲しい。
何にしても
私とは
ステージも
世界も
交わることがない御仁だ。
でも
ぶうにゃんが
聖書を手に
尤もらしく
教えを諭してくだされば
その通り!
仰る通りで
ござりまする
と平伏しそうだ。
危ない
ぶうにゃん教などというのが
横行し
教祖様が降臨遊ばし
そこにあった
オルガンでも
触ろうものなら
私なぞは
即刻入信だ。
ただ
ぶうにゃんは
そんな下世話なことは
なさらない。
高貴に
高潔に
只管ピアノに向かう。
そこが又素敵。
今日も素晴らしい
協奏曲一番でした。
