坊ちゃんが

未だ小学生の頃



ピアノのレッスンをして

つい

「音は綺麗に弾けている。

 でも

 一体何を言いたいんだい?」



ぶうにゃんは

濡れた雑巾を絞るように

坊ちゃんに言ったそうな。




高学年とは言え

未だ小学生だ。



ピアニストを志望しているなら

まだまだ厳しく相対しなければ

…と

四代目の幼な子に

楽譜通りに弾くだけでなく

何を表現したいのか

問い詰める

厳しいパパ。




パパは天才だ。



坊ちゃんにも

DNAは繋がっているだろうけど

大国の音楽院で

しのぎを削ったパパとは

ハングリー精神が

違うだろうな。



例え

上手にピアノを弾いても

パパの及第点は

なかなか頂けなかったろうな。




今は全く違う道を選んだ坊ちゃん。



ぶうにゃんパパは

ホッとしているだろうか。



厳しく

多少意地悪な視線の

冷たさを

充分知り尽くしているはずだから

芸術という

形の無い

評価が曖昧な物でなく

もっとドライで

解り易い評価ができる

物理学者を目指した坊ちゃんを

心から応援したのかな。




しかして

小学生の坊ちゃんに

天才パパの問いは

正確に届いただろうか?



芸術家のお家に生まれるって

大変だなあ。