早いなあ。
ぶうにゃんを見染めて
舞い落ちるピアノの音を
直に聴いてみたいと
一心に願った夢が
本当に叶った
私の
ぶうにゃん初めて記念日。
行ってみたい
そうは思っても
我が田舎町から
彼の地までは
公共交通機関を使うと
時間と偶然を使っても
半日以上かかる道のりだ。
行きたい
と
行けるだろうか
が交錯する間に
チケットは残り僅かになった。
胸が痛くなる。
先ずはお館様に
お休みの申請をした。
私儀
なんとしても
行かねばならぬ場所があります。
これから暫くは
お休み無しでも構わないので
何卒お休みを頂きたい…と
頭を下げた。
我がお館様は
優しい所が長所なので
何故じゃ
とかなんとか言いながら
私の一世一代とも言える
大演説を聞いてくれた。
そんな思いをして
お国の電車を乗り継がず
車で行けばいいではないか
とお返事をくれた。
これはお休みを頂ける
ということかと
小躍りしつつ
安全に行く為には
時間が掛かりますゆえ
場合によっては
都合三日のお休みを頂くやも…
と小さな声で言うと
なら車で送り迎えしながら
俺も一泊するかな…と
仰る。
いやしかし
当日はチケット付きの予約のみだと
伝えると
別のホテルで良いと言う。
あぁ
私は年末ジャンボ宝くじに
当たらずとも
決して文句は言うまい!と
固く心に誓った。
八ヶ岳という
多少辺鄙な場所ではあるけど
こじんまりした音楽堂は
可愛らしく
ホテルの方々も
ぼっち客の私に
何くれとなく
声をかけてくださり
本当にキラキラした時間を
堪能しつくした。
今年も
又行きたいのですがと
塩塩と申し出ると
早々に快諾してくれた。
私の平凡なカレンダー。
ぶうにゃん記念日が
三つに増えた。
喋らず動かず
知らないクラッシックを聴く
という暴挙に近い責め苦を
お館様に突きつける訳にはいかず
今年も
ぼっち参加だ。
ぶうにゃんの
美しいピアノを聴くのも
美味しいお食事を頂くのも
ぼっちだ。
感動を分かち合う友達も
いないけど
人生を綺麗に彩ってこよう。
……って
何ヶ月先の話なんだ?
