ゆったりと

優雅に

優しく寄り添うように

ぶうにゃんが

バッハを弾いている。




知らず知らず

呼吸の仕方が変わってゆく。



浅く呼吸したり

少し息を止めたり

呼吸の間隔が

長くなったり



ぶうにゃんはどうだろう。



愛して止まない

協奏曲一番の出だしは

指揮者の方と

軽いアイコンタクトを

取ってから

顎をクッと上げて

弾き始める。



特に興奮した様子はない。


呼吸は深くはない


細かく呼吸しているのか、

止めているか

見ている限り

解らない。



緊張はしていたはずだから

ほんの暫くは

息を止めたりしたのかな。




目まぐるしく音符が行き交う

あの、疾走感がほとばしる箇所は

どうだろう。



聴いている私は

どうやら息を止めている…

ように思う。




ばっは翁の

イタリア協奏曲ブレストも

大好きな演奏だけど

聴いているだけでも

息継ぎが難しい。




ぶうにゃんは

リズムを崩さず

強弱を調整しながら

悠々と演奏している。




天才だ


天才だとしか

思えない。



事ほど左様に

恋の魔法は

なんでも特別に見える。



今日も元気に

ぶうにゃん万歳だ。



凡人は

呼吸も行動も発想も

自由この上なく

向上は望めないものの

幸せではある。