プロとして

彼方此方から招聘された時、

白いタキシードは

ロン・ティボーコンクールで

頂いたこの一着だけだったと

著書にある。




ゴルフの大会でも

優勝すると

ウィニングジャケットを

表彰式で羽織る場面を見る。



あんなことが

フランスでもあったのかしらん。




誰が優勝するか解らないから

後日採寸して

ジャストサイズの物を

誂えてくださるのかしら。




ぶうにゃんは

恐らく手も足も長い。

しかも細身だ。

体型はY 8か……




吊るしでは、合わないだろう。




その思い出の詰まった

たった一着の

白いタキシードが

これなのかなあ。



著書には

事の顛末が

多少自嘲気味に書かれている。



このシニカルな色は

著書全体を包んでいる。




気難しいぶうにゃんという

イメージ通りの

著書だと思った。




それでも

タキシードについては

若干子供染みていて

可愛らしい。




そう思うと

普通の家庭としての思い出が少なく

その後も

ピアノと向き合う時間ほど

家族と過ごしていたのでは

なさそうなぶうにゃんだから

タキシードは

思い出が滲んでいたのかも

しれない。




国技館で揉みくちゃになった

白いタキシードが

どうなったのかは

著書に書かれていない。





でも

何かで白いタキシードを着た

麗しいぶうにゃんを見ると

あの一節を思い出す。




一万人余りの収容人数の

両国国技館。




ぶうにゃんが演奏したのは

初来日の1986年夏。



前年に蔵前から

移ったばかりの両国国技館で

よくぞ相撲以外の催しを

許可したものだと思うけど

さぞや画期的な事だっただろう。



さて、ぶうにゃんに

事の次第がお解りだったどうか。



今は昔の

お話なんだろうなあ。



今、人気絶頂のピアニストは

どの会場でリサイタルを

催されるのか。


歌手の方々は

かのびぃとるすが公演なさった

武道館を目標になさるけど

ピアニストの皆様の

憧れの舞台は

一体何処なんだろう。



どんなに人気があっても

ドームとか野外では行わず

2000人キャパの会場で

なさるのか。



本当は何が一番いいのだろう



でも

ミーハーとしては

大好きな

サントリーホールが

好ましい。



舞台と客席が

近からず

遠からず

ピアノを楽しめる

…ような気がする。



ピアニストの

素敵な姿も

十二分に堪能できる。



今秋

ぶうにゃんが

美しく奏でる夢の国は

何処なんだろう。



楽しみでもあり

チケット争奪戦にならぬようと

少し心配でもある。



昨夏より

体調が良くなって

いますように。