細くて長い

人差し指と中指で

煙草を挟んで

親指は,顎へ。


確かに煙草は

オトナの男性の小道具ではある。



19歳の時には

手慣れた手つきで

煙草をお召しであった。



一体

いつから

煙草とのお付き合いが

始まったのか。


故国では

喫煙制限は無いのかしら。



お館様に

煙草というモノに

味はあるのでしょうか?

と聞いた事がある。



無い!

何にも無い!


と仰せだった。



ただ

手持ち無沙汰の時は

有難い代物なんだと。



言葉の隙間を

煙が埋めてくれるような

気がする…と

吸わない人間には

サッパリわからないことを

言っていた。



ぶうにゃんの

記念すべき最初の一服は

何処のどちらだったやら。



家庭では女性に囲まれて

煙草には縁遠いと

思うのだけれど

この手つきを見ると

女性のように美しく

お母様の胎内にいる時から

煙草の持ち方を知っていたかのよう。


流れていたのは

折れた煙草の吸い殻がある

スナックのカラオケではなく

一流の演奏家の

生演奏だったのに。



ただ

煙草に依るダメージを拭うには

吸った期間と同じ時間の

禁煙が必要だと読んだことがある。



金管や木管ほどには

呼吸器を使わないけれど

ピアノを弾く為には

呼吸法もお役目を担っていると

勝手に思っている。

全身運動に近い演奏なれば

持久力や瞬発力も必須。

ぶうにゃん

体力に自信があったのかしら。



お館様の掌からは

煙草の香りが消えた。



禁煙してから20年だ。



ぶうにゃんの掌からは

未だ煙草の香りが

するのだろうか。


せめて

ヤニ臭くならぬよう

煙草が香るくらいでありますように。