目かなあ



フニャンという音がしそうな笑顔。



特に

上の前歯の向かって左側

ぶうにゃんにとっての

右側の歯が

斜めになっているのが

好き。



歯が全体的に

小粒に見える。



それとね、

目尻の笑い皺も好き。



生馬の目を抜く音楽院では

日々競い合い

切磋琢磨して

緊張しながら生活していたろう。



こんな風に

ふにゃんと笑うのは

どんな時だろう。



日本の媒体のインタビューでは

概ね聞かれた事には

真面目に答えたらしいけど

お父様やお祖父様については

固く口を閉ざしたという。



思い出というものを

心に置く前に離してしまったのか

幼心に温かく残る物が

あまりに少なかったのか。



ピアノ以外のプライベートは

答えたくなかったのか。



日本でも

二世は色眼鏡で見られる。

三世なら尚のことだ。



伝承芸術の宗家なら

当たり前のことだけど

ぶうにゃんは少し違うし

お母様は彼を

ピアニストにはさせたくなかった

と言う。



この柔らかい笑顔が

強張る瞬間は

質問する側も承知していただろう。

芸能誌ではない媒体でも

三世の方が

よりセンセーショナルだし

記事も書きやすかっただろうけど

その度に

この笑顔が曇ったのかと思うと

可哀想になる。






信濃日報さんより。



この

55歳の優雅な笑顔が

曇ることがありませんように。


故国に思いを寄せた時

優しいぶうにゃんの胸が

どれほど痛むのだろう。


私でさえ痛ましい映像が

胸を刺すというのに。



美しい地球は

未来永劫ではない。


せめて人間の知恵と力で

止められる滅亡は

止めて欲しい。



どんなに欲張ったところで

人間の小さな手のひらに乗る物は

それ程多くは無い。



ぶうにゃんは

若い頃から

知っていたような気がする。