あな、珍しや。


ただ

悲しいかな

本物なのか

ぬいぐるみなのか

定かではない。


ピンぼけだし。



左手の紙袋には

ぬいぐるみが入っているようだから

これをお土産に

慰問に来たのかなあ。



しゃがんでも

お膝を開いた

ヤンキー座りなんぞはなさらない。


踵を上げている。

体幹もしっかりしてそう。


あくまでも

どこまでも

貴公子のぶうにゃんなのだ。



神経質そうな父上のように

お見受けするので

おそらくは

お屋敷で動物を飼うことは

できなかったろうと

想像を逞しくする。



その後も

アパート暮らしとあらば

先ずは無理からぬことと

思うのですが

動物はお好きなのかしら?



私のように

当代限りの商売を畳んだら

ワンコを飼いたいなんぞとは

お考えにならないのだろうか。




お館様は

熱帯魚かインコなら飼っても良いと

申される。

でもワンコが良いのだ。



夢ではいろんな犬種を

傍に置いた。


コーギー

柴犬

チャウチャウ

パグ


そして

セントバーナード



飼ってみたい。



ぶうにゃんも

如何でしょうか?


広々としたリビングに暖炉

熱いお紅茶に甘いクッキー


傍にヨーゼフみたいな

セントバーナード


奏でるは牧童。


遠くからハイジの

「ペーター」の声が聞こえてきそう。


ん?

ぶうにゃんはまさか

成功したおじいさん?

そんなバカな。


隣組にお住まいの

お財閥ってことで。