ぶうにゃん
周りの人より
頭ひとつ大きい。
背の高い人が
見慣れている光景は
私が見ている世界とは
違うはずだ。
電車に乗っても
ジェットコースターに揺られても
マイカーを運転する時は
大丈夫なんだろうか。
頭が天井についたりしないか
軽自動車でなければ
そんなこともないか。
いやいや
彼の身長の3分の2は
長ーい足だから
座高は低いのかもしれぬ。
ピアノを前にして
椅子に座った時も
ピアノの中の様子が
一番手前まで
見えているんじゃないかと
想像してしまう。
ぶうにゃんは
時々
弦楽器を演奏する人が
ビブラートさせるとき
弦を押さえる指を
揺らすように
鍵盤を押さえた指を
揺らすことがある。
見る度に
何か音が変わるのかなと
不思議に思うのだけれど
打って音を出して
ペダル操作で響かせるのだから
音そのものに
与える影響は少ないと
素人は思う。
でも
ピアノの中を覗きながら
演奏できるぶうにゃんならぼ
何か変化を見て取れるのか…と
思わなくもない。
芸術はセンスだと
長いこと思ってはいる。
同じ楽譜を見ても
違う曲のように聴こえるのは
感受性や想像力が作用するとしても
先ずは譜面通りに弾けなけれぼ
ならない。
氷上の貴公子の言う通り
センスの前に
確たる技術が必要だ。
日々の練習の賜物だろう。
譜面を見て
パッと両手で弾ける人は
いないんじゃないかと
思いつつ
ぶうにゃんなら
やってのけるかもと
贔屓目が顔を出す。
ピアニストにも
ピアノにも
不思議がいっぱいある。
ピアノ
愛い奴よのお。
