左足をペダルから外し
顎を上げて
背筋を伸ばす
このポーズは
よく目にする。 



演奏中も
最後の一音を弾いた後にも
今弾いたばかりの音が舞うのを
感じ取るように
深く息を吸い込む。

一枚の絵画のようだ。


ぶうにゃんには
音が見えるのかな?

弾んだり
転がったり
止まりそうになったり
宙に浮いたりする 
ぶうにゃんがたった今弾いた音。

テレビで初めてぶうにゃんを見てから
36年過ぎてもう一度
心が踊るようになるまでの間
一生懸命生きてきた。
田舎町に住んでいるから
なかなか都会のリサイタルには
解っていても行けなかった。

オットの両親と同居していたから
同居していない人には
考えられない位の
暗黙のルールがあった。

今、
好きなCDを聴いて 
行こうと思えば
リサイタルにも行ける
身軽な身になってきたけど
ぶうにゃんは
なかなかその気にならないらしい。

本物の
ぶうにゃんのピアノの音が舞う
素敵なリサイタルを
経験できなかったのは
本当に残念だけど
こうして音源や画像を残してくれた事
今も見たことが無い
演奏している姿を見せてくださる
沢山のファンの先輩の方々に
本当に感謝している。

私は
確かに
二度目の初恋を
楽しんでいる。

それでも
是非ぶうにゃんの
思いのこもった
素敵なリサイタルを
聴いてみたいという
夢を捨てきれない。

どんなに
淡くても
儚くても。