9月30日千秋楽公演

会場は渋谷シアターコクーン


「火のようにさみしい姉がいて」


新聞広告・・「二大女優、息をのむ対峙」と・・


清水邦夫の名作として初演から数えると今回は再再演。


舞台では初共演の二人・・大竹しのぶ&宮沢りえ

しかし舞台を観れば二人の絡みはさほどない

むしろふたりに絡むのは大竹の弟であり、りえの夫の段田安則。


舞台は疲れた神経を癒すために故郷に旅した俳優夫婦(段田、りえ)

故郷は雪国。旅の途中に立ち寄った理髪店での不可解な人間模様


実は理髪店の女主人が俳優夫婦の夫の姉。

そこで俳優夫婦、姉・・の三つ巴の舞台が繰り広げられる

過去、現在、虚実織り交ぜられ、時にシェクスピア劇のセリフで

気持ちを吐露、さらに男にオセロが被さってきたり・・といった展開。


初演、再演では三つ巴の中心は男だったとか。

各公演の配役を見ると演出の意図がほの見えるかも・・

1978年初演

秋浜悟史演出

俳優・・山崎 勉

妻 ・・・松本典子

姉 ・・・岸田今日子


1996年再演

清水邦夫演出

俳優・・・蟹江敬三

妻 ・・・・樫山文枝

姉 ・・・・松本典子


2014年再々演

蜷川幸雄

俳優・・・段田安則

妻・・・・・宮沢りえ

姉・・・・・大竹しのぶ


こうしてみると1996年の再演時の演出が清水邦夫。

原作者の演出でもあるからイメージとしてこの配役だったのかな。


段田さんは精神の破れていく姿をうまく演じられてはいるが

シェクスピア劇俳優としてのイメージが合わない気がした。

しかし俳優と地のギャップと逆に二者が被さる部分が面白い。


珍しく大竹さん、セリフは少ない。が、摩訶不思議な存在感が凄い。

こんな役は待ってました!って感じ。このあたり独壇場。

田舎の理髪屋の女主人として無言でただひたすら剃刀を

研いでいる姿に象徴される何かが起こる気配。

大竹さんの表情、佇まい・・真に迫るおかしさ。逆に笑える。


宮沢さんはよんにゃむが観た彼女の今までのお芝居の演技とは

違って力を抜いたような自然体がイイ。

以前観た「パイパー」では妊娠中だったし、先日は「ナポレオン」の

代役、そして今回母上の訃報・・

これも大女優への道の試練でしょうか・・


蜷川演出は相変わらず群像シーンが秀逸

今回は日本海の雪国、薬売り・・といったモチーフを

瞽女の様な姿の行列で演出


劇評は・・