お子さんと病気は全然違うのですが、

私の持病も同じく劣性遺伝(潜性遺伝)で、
他人事とは思えない気持ちになりました。



劣性遺伝って、健康な両親から遺伝するものなんですけど、誰でもそういう病気の遺伝子を5〜10個は持っていることはあまり知られていない気がします。


・劣性遺伝とは何か

・難病の治療

・病気の人が子供を残すこと


などについて書いてみようと思います。


(難病といっても色々あるので、こんな例もあるよ程度に流し読みしてもらえれば)


 


劣性遺伝ってどうやって起こる?


両親が、健康な遺伝子(A)と病気の遺伝子(a)を持っていると、

父Aa、母Aa。

子供への遺伝パターンは

パターン①AA ⇨正常
パターン②Aa ⇨保因者だけど発症しない
パターン③aA ⇨保因者だけど発症しない
パターン④aa    ⇨発病

つまり4分の1の確率で遺伝する。


うちの兄は健康なので①〜③のどれか、
私は運悪く④になって発病しました。


 


健康な人でも遺伝子異常は5〜10個ある

医師の説明によると、

健康な人でも遺伝子の5〜10個は欠損がある(病気になる遺伝子)らしいです。



ただし、その5〜10個の欠損箇所がパートナーとかぶる確率が低い。

いくつもの遺伝子情報があるなかで、5〜10個なので。

 


パートナーとかぶったとしても、遺伝するのは4分の1の確率。


確率的に発症人数が少なく、治療法を探すのが困難になるというわけです。



 


発病した私から子へ遺伝する確率は1%未満

なぜかというと、欠損してる遺伝子がパートナーとかぶる確率が低いからです。



相手が同じ病気なら100%遺伝、保因者なら50%ですが、そういう人と出会ってパートナーになる確率的にものすごく低い。



実際に同じ病気で出産された方がいますが、子への遺伝はなかったそう。


子供を産んでも99%の確率で問題ないと言われました。



以下、私の免疫不全の病気と照らし合わせる形にはなっちゃいますが、参考までに。



 


診断が確定するまで5年

他の疾病と症状がかぶる場合、正しい診断がされるまで時間がかかります。


まず症例の多い病気から疑っていくのが診断のセオリーだからです。



私が免疫不全と診断が確定したのは5才の頃でした。

(当時は国内で100人くらいの患者数でした。この頃までに入院15回、肺の下半分を取る手術1回)


20年以上前の話ですが、東京でさえ5年です。地方だったらもっとかかっていたかもしれません。



 


難病を診れる病院は、東京でも数カ所


私は免疫不全のなかで1番多い型ですが、

東京でも病院は3〜4箇所くらい。


地方だと大学病院です。

通院回数、通院時間を考えると、
家族ごと転居するという話も聞いたことがあります。

関根さんのお子さんの場合は国内でも治療できる専門医はいないとのこと。



 


親のメンタルケアがない

私が小さい頃入院したときは、


父→仕事終わりに面会(往復3時間)

母→家で兄の面倒(+おじいちゃんも病気がちだったので介護)



病名ははっきりしない、

年に何回も入院する、

仕事と家事と介護に追われる、


で相当きつかったと思います。


仕事と両立させてくれる両親のもとに生まれたのは運が良かっただけで、


孤独でつらい方も多くいるだろうなと想像してしまいます。

(夫婦仲がいいとも限らないし)


 


親と子の両方のケアができる福祉

難病には当たり前にお金がかかります。


治療費が高いのと、薬が珍しいとものすごく高い。


たいてい都道府県の医療費助成があって助かってますが(なんなら今も助成があるからなんとかなってる)



関根りささんが検討している先進医療ともなれば何百万〜何千万。



たまたま私は保険適用で治療でき、両親が共働きだったので経済的に困ることはなかった。



けど保険適用じゃなかったら?

母子家庭or父子家庭だったら?
親の職場の理解がなかったら?


そう思うと、患者だけでなく親も支える福祉って大事だなと。

私が就職できるくらいの生活を送れたのも、親の力+福祉があったおかげです。



 

同じ病気だった先祖も、子供を残せたから私がある

劣性遺伝とわかったとき、親族に同じ病気の人がいないか探したらしいんです。

(遺伝なので、両家の先祖に必ず同じ病気の人がいる)


でも見つかりませんでした。



そこでよくよく考えてみたら、私と同じ病気だった先祖2人は、子供を残してるってことなんですよね。


でなければ私まで遺伝しませんからね。



先祖と私のあいだの何世代かは、健康な人だったわけです。


その健康な人が今頃さらに健康な子孫を残しているはず。




たまに「病気の人が子供を残さないでほしい」みたいな意見を目にするとグサってくるんです。



けど同じ病気だった先祖が子供を残していて、健康な子孫が今さらに健康な子孫を残せてると思ったら、なんだかほっとしました。




 


潜在的な病気を打ち消して生き残っている

ちょっとおおげさな話になっちゃいますが、


血縁が遠いほどお互いの欠点を克服できるように、うまくできているものだなと思います。(遺伝の仕方にもよりますが)



関根りささんの場合は、4分の1の確率でまた子供が発病すると思ったら自然妊娠はしたくないとおっしゃっていました。


保因者同士で確定している場合はまた判断が難しいかもしれません。



ただ、健康と思っていても誰にでも病気の可能性はあるんですよ。



もし治療が進められたら、健康な子孫を残せる可能性が広がる。


なにより患者とその家族が、他の人と同じ日常が送れるようになる。



何で福祉に税金が割かれるのか、

何で難病の医療費助成があるのか、



特にオチもなく、関根さんの力になれるわけでもないですが、

医療が進んで健康に過ごせる人が一人でも増えればいいなと祈っております。



【追記】

2024年暮れ、お子さんが亡くなったとのことです。ご冥福をお祈り致します。


動画で「生きているのか、生かしているのか」という言葉があって、心にずんと来ました。


私は50年前に生まれてたら、たぶん小さいうちに死んでいたと思います。ぜんそくや、アレルギーなど、数十年遡ったら生きていられなかった人は大勢います。


それでも生きているのはか親のおかげ。生かしてくれたおかげ。

生かしたいと思うのは家族として当然の気持ちです。

(病院の関係者の人で、本当に親身になって考えてくれる方もたくさんいる)



健康じゃない人の命が短いのは自然の摂理だよね、と思うのは経験してない人だけだと思います。


難病の子を持つ家族は、胸を張ってできる限りのことをやっていってほしいと願っています。