こんにちは。

今日は昨日から引き続き、アメリカ人夫(現在は投資会社個人経営)が、90年代に日本で働いていた時のお話です。

 

前回は、アメックス日本支社で試験的な採用をこぎつけましたが、任される仕事が小学生レベルのものだったというお話しでした。

 

その4 住銀アメックスに正社員として採用される。

 

●誰もやりたくない仕事を引き受ける。

 

そんなとき、アメックスのニューヨーク本社から日本支社が入っているビルの安全管理や環境対策のレポートを提出するようにとのお達しが来たのです。そんな雑務は誰もやりたくない。上から順々に下がってきて、とうとう彼にまわってきます。

 

ですが彼はとても喜びました。ようやく仕事らしい仕事ができる!ビルの管理のことなど何も知らなかった彼は、総務部のおじさんに話を聞きに行き、リサイクルシステムやら安全管理やらをまとめた英文レポートを作成します。

 

このレポートを見た幹部が彼のレポートの完成度に驚き、彼の株が上がっていきました。

 

●住友銀行とアメックスの合弁会社に引き抜かれる。

 

住友銀行とアメックスが出資して合弁会社をつくるという話が持ち上がり、とうとうそこの正社員として雇われることになりました。その後3年間その会社で働きます。年収は550万くらいだったとのことですので、なかなか良い待遇を受けていたのではないでしょうか。しかし日本の会社で働くことでタテ社会の厳しさを知り、日本の会社は軍隊のようなところだと思っていたそうな。

 

●英語の先生から日本のサラリーマンに変身を遂げて思ったこと。

 

英語の先生のときはガイジンとしてお客様扱いをされていたのでちやほやされます。彼いわく、「ニッポンっていい国だね」という外国人はこの経験だけで日本を評価しているのでは、とのこと。

 

実際に日本人と同じ土俵で会社人として働いてみると、身内として受け入れられるかわりに外国人として特別扱いはされなくなり、上司からのいじめも受けたとのこと。例えば、上司の帰り際に「これ明日の朝までに提出して」と渡され、夜中の12時まで仕事をしたり、ひげをはやしていたのを同僚から「社会人としてみっともない。剃れ剃れ」と言われたり(銀行系だから当然なのですが、)満員電車で長い通勤時間に耐えたりと、日本のサラリーマンの哀愁を深く理解できたそうです。

 

<終わり>

 

●後日談

JETプログラムで働いていたとき(ブログその1)は稼いだお金を全部使い切っていましたが、その後かなりお金に困ったので(ブログその2)今回はちゃんとお金を貯めていたそうです。

 

アメリカに帰国後やりたいことがなく、当時好きだったバイクの整備工の学校に入りメキシカンたちとバイクの修理を学びます。卒業することなく、あるバイクの修理工に弟子入りをし無休で働きますが、そのときのその上司が仕事上でも人生においても今までで一番のボスだったと言っています。ただ仕事はまったく向いていなかったそうで、1年後に金融会社のブローカーとして働き始めたとのこと。修理工からブローカー!?と驚きですが、その頃のアメリカは気ままに転職できたようでいいですね。

 

ここがポイント!:日本では残業問題が深刻です。私も日本で働いていたとき、繁忙期は夜の10時、11時があたりまえという時期がありました。定時は6時でしたが、6時ぴったりで帰るのはやっぱり気が引けていました。アメリカでは残業問題はないのかというと、雇用形態によって違います。

 

アメリカでは正社員の形態が大きく分けて2種類あります。

 

▶︎Wage( 時間給)― 時間給なので残業代が出る。

▶︎Salary (年収ベース)― 成果や経験によって年収が決まり、残業代は出ない。

 

私が渡米して最初に働いた保険会社ではアカウンティングの部署で、データ入力やファイル整理などの基本作業でした。Wage制でしたので残業するとベースの1.5倍の残業代がでます。ですので会社側は残業をさせないように厳しく取り締まります。また無理矢理残業をさせるのも違法なので「今日は残れますか?」と事前確認があり、無理な場合は気軽に「no」と言えました。

 

時間給で働く人は、9時―5時のシフトであれば9時ギリギリに出社、5時ぴったりに帰社します。たとえ仕事が一区切りついていなくてもピタッとやめます。なんなら4時半くらいから締めに入ります。

 

時間給で働く人たちを管理するマネージャーになるとSalary制になり、残業代は出ません。それが理由でマネージャーになりたくないという人もいました。

 

私が大手会計事務所で働いた時は、一年目からSalary制で残業代はでませんが良い仕事をしたり表彰されたりするとボーナスがでる仕組みでした。金融やコンサルタント業、弁護士事務所も同じ形態です。みなさん1年目から猛烈に働きます。繁忙期は夜中の2時、3時まで仕事などあたりまえ。ウオール街ではインターンに徹夜をさせないようにと会社の人事から注意が出たことがあったとか。

 

ですが スローな時期は4時頃に帰社したり、オフィスに来ないで在宅勤務をしたり、仕事中にジムに行ったりしてます。クライアントにチャージできるアワー数(時間)を稼いでいれば基本は何をしてもいいので(目標のアワー数を達成するのはかなり神業ですが、)平日に同僚たちと野球ゲームを見に行くイベントなどもありました。

 

わたしは40歳を超えてから大手会計事務所に入ったので、若い新人たちの体力や気力についていけませんでした。そのときのことはまた追ってお話ししたいと思います。