ユニクロ帝国 | 溜池ではたらく不動産屋のブログ_Season 3

ユニクロ帝国

これまでユニクロ関連の本と言えば、柳井さん自身の著作か、またはユニクロはすごい会社だ!というようにユニクロを褒め称える本(ユニクロを肯定的にとらえた本)ばかりでした。今回の本は批判的というわけではありませんが、ネガティブな面にもスポットを当てた内容となっています。

なかなか面白いですが、どうも柳井さんの本からの引用がけっこう多くて、また過去のインタビューからの引用もあるので、けっこう知っている内容が続きます。現在、ローソンで副社長をやっている玉塚さんを更迭するときの話とか、澤田さんが辞めるときの話なども、そんなに目新しい情報はありません。中国でユニクロが使っている工場ではたらく人々にも取材に行っていますが、それほど、ユニクロに対して否定的な言葉は出てきません。日本で店長さんとしてはたらく人々のコメントはリアリティがあって、仕事もとてもきつそうです。朝8時から夜の11時くらいまではたらくと。

そして最後は、マクドナルドの藤田田さんやダイエーの中内功さんとの比較の話になります。柳井さんも明確な後継者がおらず、柳井さんがマーケットとずれ始めたときが、ユニクロの凋落の始まりだと。柳井さんには息子さんが二人いるみたいですが、継がせるつもりはないようですね。

最後まで読んでみて、『ユニクロはひどい!、柳井さんはひどい!』と思うかと言うとそんなことは無くて、お父さんから継いだとはいえ、実質的には創業者で、ここまで会社を大きくするんだから普通の感覚じゃだめだよな、多少は非情なところがないと、こんな大きい会社は動かせないよなと妙に納得してしまいます。ソフトバンクの孫さんが100億寄付する!と宣言してしまったのでみんな忘れてしまいましたが、柳井さんも私財から10億寄付されるようです。どんなに社員に厳しくあたっていても、渋谷で豪邸に住んでいても、こんなときにポンと10億出すおじさんは尊敬に値するなーーと思ってしまう一冊なのでした。。。
ユニクロ帝国の光と影
横田 増生
文藝春秋
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