入居者が退去する旨、連絡あり。
正しくは・・・、当社担当者が追い出しをかけたらしい。
どうも、精神的に問題を抱えていたらしく、最近その傾向が顕著に。
両親に捕獲されたときには、天井裏にあがって下におりることが出来なくなっていた。
そして、物件の引渡し。
お母ちゃん 『あなたねぇ、壁紙なんて時間が経てば交換するのよ。何でうちが負担するのよ』
仰せのとおり。
この方、10年超ここに住んでいた。
滞納歴なし。
オーナーと折半で、と入居者には説明し、当社の施工単価を上げるしかない。
施工単価を上げれば当社の利益がなくなるだけで、修繕そのものは出来る。
・・・と思った瞬間。
『あ、あれ!?』
足元が若干動いた。
なんか、不安定な感覚。
よかっぺ、世にも奇妙な床の傷を発見。
よく見ると・・・、マンホール大の正方形。
『これ、どうかしました???』
必要以上にうろたえる占有者。
動揺し、絶叫する私。
『はぁ!?』
なんと、それは傷ではなく、フタだった。
正しくは、入居者が床に正方形の穴を開けていたのだ。
なんで???
お母ちゃん 『あなたがやったの!? 』
息子 『#$%#&$%TY)P(GH=‘』
パニックに陥る息子。
青ざめる母親。
なんと、床下を覗くと・・・、
大きな穴があるじゃないか!
息子に尋問すると、実はこの穴が外に通じているとの事。
何のために?
どうやって?
聞きたいことは山ほどあったが、そんな余裕はなかった。
よか 『これ、修繕するの大変な金額がかかると思うのですが・・・。』
お母ちゃん 『・・・。仕方ないですね。見積もりが出たら電話をください。 』
普通ならこれで終了。
この時は例外。
『すみません、今いくら持ってますか?』
強気に一歩を踏み出した。
お母ちゃんの顔色を見ると、『勝てる』と確信した。
続けて
『財布の中を見せてください。』
入居申込書の保証人欄には
『父金男。職業開業医。年収○○○○万円』
覚えていて良かった!?
財布には普通に50万円入ってました。
よか 『50万円じゃなくて、45万円で結構ですよ。』
お母ちゃん 『いいわよ、今から銀行に行ってくるから。』
ならもっとくれ!と言えなかったのは当時の私の詰めの甘さでしょう。
結果、こちらの請求どおりにすんなり払ってくれました。
穴は庭につながっていました。
世紀末に備えていたのでしょうか・・・?
(つづく)