先述のとおり、機内では楽しい時間を過ごした。
入国後、彼と一緒に彼女の元へ。
『紹介します。私の婚約者です。』
彼女、ムッとしてた。
早く二人きりになりたかった、とか、そんな理由ではない様子。
私が異常にハイテンションだったのがムカついたらしい。
さて、彼女の家に到着。
彼女を押し倒そうとすると・・・、
拒まれた。
まだ怒ってる・・・。
更に。
『はぁ?旅行のプラン、何も考えてないの????』
正直言って、私は彼女と一緒の時間・空間を共有するだけで満足なのだ。
ぶっちゃけ、会いに来た理由は 『旅行』 ではない。
男性のあなたならご理解していただけるでしょう。
前回は失業中で暇だった。
今回は日々仕事を追いかけ、新しい職場環境に戸惑っていた。
これが旅行のプランを全くたてていなかった言い訳だ。
はっきり言って、全力で仕事をしながらの旅行の手配は厳しい。
仕方なく、現地の Tourist Bureau へGO。
10分で5日間の計画を速攻で決定。
今回はバスを使ってみた。
マイカーのほうが融通が利くし、安いし、何よりも2人きりの空間が得られる。
でも、今回は、あまりに彼女が怒っていたので気を遣ってみた。
そう。
私はまだ運転免許を持っていなかったのである。
理由?
学生時代はお金がなかったから。
学生時代。
いつも350円を握り締めて、
250円の安いランチ+70円の紙コップのジュース
330円の(自分にとって)スペシャルランチ+学食のマズイお茶
今日はどちらにしようか?
と毎日真剣に悩むほどお金がなかった。
喫茶店?
コーヒーだけにウン百円使うなんて、あり得なかった。
マクドナルド?
そんな高級な店には行けなかった。
大金掴んだ失業後にさっさと教習所に行っとくべきだったが・・・、彼女との甘い生活で忙しかったもので。
さて、話を戻します。
ホテルに着いたのは夜。
初日は移動で終わってしまった、と彼女はまだ怒ってる。
さっさとシャワーを浴び、一人で寝てしまった彼女。
それじゃあまりにも寂しすぎる私。
栗色(地毛)の、長い髪に触れ、優しく撫でてみた・・・。
無視された。
華奢な肩に手を添えた。
同上。
軽~く彼女の頬にキスをしてみた。
反応なし。
彼女の唇をそっと撫でてみた。
反応あり。こそばゆかったみたい。
と、いろいろなことをやっているうちに、彼女が目を覚ました。
間違いなく嘘寝だった。
次以降のの行動は・・・想像にお任せします。
やっと許してもらえた?
違う。
彼女なりに自分の感情を抑えたのだ。
彼女もこれ以上怒ったままでは、と考え直したのだろう。
そして、やはり彼女も女性である。
パートナーに久しぶりに会ったわけだ。
何も感じないはずはないだろう。
まぁ、何はともあれ、目的達成。
2日目~は・・・、何したか忘れた。
最後の日、フリーマーケットへ。
彼女 『これ欲しい。』
よか 『買ってあげるよ。』
彼女 『これも欲しい。』
よか 『両方いいよ。』
彼女 『いや、どっちかだけ欲しいの。』
結局、なぜか天秤を買った。
自分で買う、と言って聞かなかった彼女。
よか 『じゃぁ、これ誕生日プレゼントにしよっか』
そう、彼女の誕生日がGW中にあるのだ。
『お誕生日、おめでとう』
と言うと、公衆の面前で臆することなく彼女を抱き寄せた。
よか 『結婚しよう。もう少しだけ待って欲しい。』
彼女 『もう少しって、どのくらい?』
よか 『君を食わしていける自信がつくまで。』
彼女 『いつになったら自信がつくの?』
よか 『わからない』
彼女 『・・・。』
後日知ることになるのだが・・・。
私は、彼女に対し、安定した生活を提供する義務があると考えていた。
彼女は、今すぐにでも結婚して・・・『家』 を出たかったのだ。
このときは、なぜ彼女が浮かない表情をしているのか、さっぱり理解できなかった。
空港での別れは、彼女の曇った顔を見ながらの別れだった。
アスリートの彼はいなかった・・・。
そんなことより、彼女の表情がずっと引っかかっていた。(つづく)