結果を左右した“キングメーカー”の対照的な動き、「初の女性総裁」高市氏《まさかの劇的勝利》はなぜ実現したのか
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小泉進次郎農林水産相が有利との声が優勢だったが、見事に下馬評を覆した(写真:時事)
多くの政界ウォッチャーの予想と正反対の方向へ、事態は動いた――。石破茂首相の「後継」を決める自民党総裁選挙は10月4日、同党本部で投開票が行われ、決選投票の末、新総裁に高市早苗・前経済安全保障担当相(64)が就任した。
【写真あり】投票時の表情にも表れている? 対照的な動きとなった「2人のキングメーカー」
今後、高市氏は15日に召集が予定されている臨時国会の冒頭での首相指名を経て、同日夜、新内閣を発足させる展開が有力視される。
女性の首相就任となれば史上初で、「政治史上に残る“快挙”」(高市氏周辺)となる。
■決選投票でも小泉氏を圧倒 今回の総裁選には、小林鷹之元経済安保相(50)、茂木敏充前幹事長(69)、林芳正官房長官(64)、高市氏、小泉進次郎農林水産相(44)の5氏(届け出順)が出馬。
候補者5人は、昨年の9人に次いで多かった2012年と並んで、過去2番目の数だった。
9月22日の告示後、さまざまな討論会などで内政・外交について論争を展開し、投開票日を迎えた。
1回目の投票では、高市氏が183票(議員票64、党員・党友票119)でトップ、2位は小泉氏で164票(84、80)。3位が134票(72、62)の林氏、4位が59票(44、15)の小林氏、5位が49票(34、15)の茂木氏となった。
誰も過半数は得られず、勝負は上位2人の高市、小泉両氏の決選投票に持ち越された。
両氏は5分間の演説を行い、それを受けて全国会議員259人と都道府県代表47人による決選投票が行われた。
その結果、高市氏が185票(議員票149、都道府県票36)、小泉氏156票(145、11)と29票の差で高市氏が勝ち切り、第29代総裁に選出された。 党内保守派の旗頭とされ、安保・防衛政策などでいわゆる“タカ派”とされてきた高市氏。だが、今回の総裁選では自らを「中道保守」と位置づけるなど、党内の中道勢力の支持取り付けに力を注いだ。
当初から小泉氏との“2強”とされ、結果的に決選投票は小泉氏との対決となった。選挙戦中盤で発覚したステマ(ステルスマーケティング)問題などの影響もあり、小泉氏が失速したことが、高市氏勝利の要因になったとみられる。
この結果について、党内では「最終的に麻生太郎最高顧問が高市氏を支持し、『反高市』の立場だった岸田文雄前首相も旧岸田派をまとめきれなかったことなどが、高市氏勝利の要因」(自民党長老)との見方が広がる。
今後トランプ大統領との会見も有り、前途洋洋に思える。