ことしのコメの作柄 43都道府県で「平年並み」以上
農林水産省はことしのコメの作柄について、北海道や東北地方などの12の道府県が「良」や「やや良」、新潟など31の都府県が「平年並み」になるとする見通しを示しました。
スーパーなどではコメが品薄となっていますが、農林水産省はこのまま生育が順調に推移すれば徐々に品薄も解消される見込みだとしています。
農林水産省は8月15日の時点で、その後も気象が平年並に推移した場合の都道府県ごとのことしのコメの作柄を発表しました。
それによりますと青森が「良」、北海道や秋田など11の道府県が「やや良」、新潟など31の都府県が「平年並み」となり、対象となる46の都道府県のうち43で平年並み以上の見通しとなりました。
これは5月以降、気温が高く日照時間が長いなど天候に恵まれたためだということです。
一方、田植え後の日照不足の影響などで長崎、佐賀、宮崎の3県は「やや不良」と見込んでいます。
農林水産省の調査では、6月末の時点で16の道や県がコメの作付けを増やす意向を示していたことから、このまま生育が順調に進めば収穫量は去年を上回る見込みだということです。
スーパーなどではコメが品薄の状態が続いていますが、農林水産省は新米が本格的に出回れば徐々に品薄も解消される見込みだとして、消費者に慌てて買いだめなどはしないよう呼びかけています。
大阪市内のスーパー ことしの新米 売り切れるところも
そうした中、大阪市内のスーパーでは、出回り始めたことしの新米も売り切れるところが出ています。
阿倍野区のスーパーでは、8月上旬からコメの入荷が少なくなったため、中旬から数量制限を設けて販売を行っています。
29日は徳島県産の5キロの新米10袋が入荷しましたが、店頭に並べてからわずか1時間ほどで売り切れてしまいました。
仕入れ価格が高騰したため販売価格は去年の同じ時期のおよそ2倍に設定しているということです。
コメを買った44歳の女性は「どこにも売ってなくてやっと見つけました。子どもが夏休みで一気にご飯を食べて、コメがなくなっていたので、価格は高いですけど買えて安心しました」と話していました。
店によりますと、新米が出始めているものの入荷が不安定な状態は続いていて当面は数量制限を設けて販売する方針だということです。
スーパーを運営する「アオイサポート」の内田寿仁社長は「食料品が値上がりする中、コメは供給面でも価格面でも安定していたので、びっくりしています。ただこれから新米が出始め、コメの供給量も増えて値段も下がってくると思うので、どれくらい消費するのか上手に計算してあまり慌てて買わないようにしていただければと思います」と話していました。
外食チェーン コメの買い付け先や銘柄増やすなど 安定確保へ
名古屋市に本社のあるこの外食チェーンは、12の飲食店ブランドを運営していて合わせて全国におよそ250店舗あります。
年間に1000トン以上のコメを購入しますが、これまでは飲食店ブランドごとに銘柄を決めてぞれぞれ1社から買い付けてきました。
しかしコメが品薄になっている状況を受けて、会社ではこれから本格化する新米の買い付けで外食産業の企業間の競争が激しくなると見ています。
このためことしはコメの買い付け先や銘柄を増やすことを検討していて、購買の担当者が国内の産地を訪問するなどして商談を進めているということです。
外食チェーン「サガミグループ」で購買の責任者を務める森亮介さんは「新米に入れ替わる前までに調達先を決めなければならず、いまは大事な商談の時期だ。コメは日本の主食でメニューから外せない主役のひとつなので、安定して確保していくために産地や業者との関係を強化していきたい」と話していました。
茨城の道の駅 コメの在庫問い合わせ相次ぐ 県外から買い物客も
古河市の道の駅では地元の農家が毎朝、コメを納品して販売しています。
道の駅によりますと、お盆明けから「コメを探している」などという問い合わせが連日寄せられ、多い日は10件以上あるということです。
中には「埼玉県から2時間くらいかけて行くので、取り置きしてほしい」という問い合わせもあったということです。
8月25日、道の駅を訪れるとこの日も「コメはまだ売っているか」という電話の問い合わせが相次ぎスタッフが対応していました。
また売り場では朝から隣接する埼玉県などから来た買い物客が次々とコメを購入していき、中には1袋5キロのコメを3袋まとめて買っている人もいました。
およそ80袋並べたコメは開店から30分ほどで10袋余りになるまで売れて、途中、農家が追加のコメを納品していました。
さいたま市から訪れた30代の母親は「家の周りには全くコメが売っていません。家にはあすくらいまでのコメしかなく、子どもも小さいので食べられないのはかわいそうだと思って買いに来ました」と話していました。
埼玉県春日部市から夫婦で訪れた60代の買い物客は「いつも買っている農家に電話したら『このコメ騒動で在庫がない』と言われたので、あわててこちらに買いに来ました」と話していました。
道の駅「まくらがの里こが」の前野亮一店長は「ことしの売れ方は異常でお盆明けから売れるようになりました。新米が出だしたら落ち着くと思いますが、農家から預かったものをしっかり売りたいです」と話していました。
坂本農相 コメ品薄について“対策遅かったとは思わない”
各地のスーパーなどでコメが品薄になっていることを受けて、農林水産省は8月27日に卸売会社などに対して、コメの円滑な流通に努めるよう申し入れました。
これに関連して坂本農林水産大臣は30日の閣議の後の記者会見で「国としてもう少し早く対策をとるべきだったのではないか」と問われたのに対し、「コメ全体の需給では必要な在庫水準が確保されていると思っている。在庫の情報をもとに卸売会社に円滑な流通をお願いをしたので、時期として遅かったと思っていない」と述べ、対応に問題はなかったという認識を示しました。
このほか政府の備蓄米を子ども食堂などに無償で提供する制度の拡充が正式に発表され、これまで年4回、全国10か所で行われていた申請の受け付けが9月2日からは1年を通してすべての都道府県で行われるようになります。