石畳の町内の角地に「管区」と呼ばれる裏庭付の広い役所❓が有った。
その裏庭の雑木林は蝉取りの聖地だった。
父のお陰か筆者の兄弟3人は立ち入り禁止では無かった。
早朝、暗いうちに、セミが地下から這い出る前に穴に茎を突っ込むと、
茎がモゾモゾトと動く、大きめの穴にはクマゼミが潜んでいた。
その場所に米軍の憲兵隊が出来・・・否も応も無く立ち入り禁止。
数匹の大型の軍用犬が居たが、筆者の臭いは裏庭の各所に残り、
軍用犬は熟知していた。
昼間、塀に上っても、あまり警戒されなかったが、夜は吼えられた。
憲兵とも顔なじみで、軍用犬とも顔なじみになり友達に羨ましがられた。
有る時、憲兵の一人が歯を押さえて痛がっていた。
身振り手振りで父は歯医者と伝えたら、案内せよと催促され、
父の医院へ連れて行ったら患者も父も吃驚・・・
父は多分英語も少し話せたようで、治療を開始し完治した模様・・・。
その後憲兵の態度が急変し特別に可愛がられたが、父に止められた。
何時の頃からか米軍は撤退した。