【解説】イスラエルの対イラン攻撃 明確な警告「どこでも攻撃可能」
配信
イスラエルに対する報復攻撃後、イランの首都テヘランのパレスチナ広場に掲げられたイラン国旗。ミサイルの模型も見える(2024年4月15日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】イスラエルが仕掛けたとみられるイランへの攻撃は、意図的に範囲が限定されていた。しかし、イランの指導層に対しては、機密性の高い目標を攻撃できるというイスラエルの能力を知らしめる明確な警告となった。
イランはイスラエルを国家として承認しておらず、両国は、過去数十年にわたって「影の戦争」を続けてきた。
イスラエルはイラン国内で秘密工作を続け、一方のイランはパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)やレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)組織ヒズボラ(Hezbollah)など、反イスラエルを掲げる過激派組織を支援している。
しかし、そうした事態が新たな局面を迎え、両国が公然と衝突する危険性が高まっていると専門家は指摘する。
昨年10月7日のハマスによる越境攻撃を機に、イスラエルは報復としてガザ地区への爆撃を開始。そうした中、イスラエルは今月1日、在シリア・イラン大使館領事部を空爆し、イラン革命防衛隊(IRGC)の幹部7人を殺害したとされている。
イランはイスラエルへの報復として、数百の無人機(ドローン)やミサイルを投入し、史上初めてとなる直接攻撃を実施した。ただし、イスラエル側は同盟国の支援を受け、「ほぼすべて」撃墜したとしている。
イスラエルが大規模な報復攻撃に踏み切れば、イランはさらに応酬するだろうとの懸念が広がる中、米国の圧力を受けたイスラエルが選んだのは、攻撃規模を限定することだった。
米ニューヨーク・タイムズ紙がイスラエルとイランの情報筋の話として報じた情報によれば、攻撃目標とされたのは、イラン中部イスファハン(Isfahan)州の空軍基地にあるロシアが供与した地対空ミサイルシステム「S300」のレーダーだ。同州ナタンズ(Natanz)には、ウラン濃縮施設もある。
報道では、攻撃を仕掛けた側についての特定はないが、イラン国外の戦闘機から発射された少なくとも1発のミサイルと、(四つの回転翼を持つ)クアッドコプターと呼ばれる小型の攻撃用ドローンが複数関与していたとしている。防空網の混乱を狙ったとみられるクアッドコプターは、イラン国内から飛ばされた可能性が高い。
- 前へ
- 1
- 2