国民人気はないけれど…退陣危機の岸田総理に代わって「総理待望論」がささやかれる意外な大物議員の名前
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野に下る怖さを知らない議員らが
岸田文雄首相(自民党総裁)の総裁任期が9月に迫る。
当面の政局の焦点は、
1、岸田は総裁選に勝利して続投できるのか。
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2、岸田は総裁選までに衆院解散・総選挙を行うことができるのか。
この2点に大きく収斂する。
今後のおよそ半年間を見通してみたい。
(文中敬称略) 自民党は派閥による裏金事件の決着を目指し、国会議員39人を処分した。
しかし各種世論調査では内閣支持率は20%程度と逆風下にある。
現状では衆院選を行っても自民党(現有約260議席)は、単独過半数の233議席確保さえ危うい。
自民党有力者の一人は「内心は首相に早く退陣してほしいと思っている与党議員は少なくない」と「潜在的な岸田降ろし状態」を口にする。
未曽有の危機であるが、岸田を首相の座から降ろそうと明確に仕掛ける者は出ていない。
ある党幹部は「09~12年の野党時代の屈辱を知らぬ若手議員らに危機意識と行動力が欠けている」と言う。
野に下る怖さを知っていたなら、もっと早く行動に出ているはず、ということだ。
岸田は、自身が率いた岸田派の解散表明や、衆院政治倫理審査会への自らの出席という思い切った判断を「特に執行部などへの相談なく行った」(自民党ベテラン)。
党内の「膠着状態」が岸田の自信を支える。
4月28日に東京15区、島根1区、長崎3区の衆院小選挙区3補欠選挙が投開票される。自民党が唯一公認候補を立てた島根1区は、立憲民主党候補が先行している。
東京15区は都民ファーストの会副代表の新人・乙武洋匡が立候補を表明したが、日本維新の会新人、立憲新人との激しい当選争いになっている。
長崎3区は自主投票。仮に自民党が支援する候補が全敗すれば、岸田の求心力低下に拍車がかかり、早期退陣の機運が出ることも否定できない。
唯一の挽回策は…
唯一の挽回策として、岸田は日本人拉致問題解決に向けた北朝鮮訪問に意欲を燃やす。
3月26日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹である金与正党副部長は、日本が首脳会談を求めてきたとした上で「日本側とのいかなる接触、交渉も無視し拒否する」との談話を発表した。
しかし北朝鮮側の対応は「岸田訪朝を完全には拒絶しておらず、いかに北朝鮮に有利な内容で首脳会談を行うかの駆け引き」(関係筋)との見方があり、岸田が訪朝するかどうかは予断を許さない。
一方で日本人拉致被害者の奪還は困難を極める。岸田が訪朝しても被害者を連れて帰れなければ「北朝鮮に利用されただけだ」との非難も予想される。
岸田は金正恩との対話の足がかりを築き、解決の突破口を開こうと狙うが「国内世論がどう振れるかは読み切れない」(与党筋)。
対日本における優位を国際社会に誇示したい北朝鮮側と、拉致問題解決を目指す日本側との間で神経戦が続く。
春のうちに山場が来ることも否定できない。
岸田が総裁任期内の衆院選をうかがう理由は、自身の再選戦略の一環だからだ。
総裁選直前の衆院選で「勝利」と言える結果を出せば、実績となる。衆院議員に対し「当面は衆院選がないのなら、岸田続投で構わない」と思わせる心理的効果は大きい。
しかし、逆に自民党が単独過半数を失えば政権は「死に体」となり、事実上の「ジ・エンド」だ。
このため、勝敗の見通しがつかぬまま行う「破れかぶれ解散」は論理的にあり得ない。
会期延長がなければ6月下旬である今国会会期末の解散論が取り沙汰される。
だが「勝てる」という科学的根拠のない、時期ありきの会期末解散論はいわば「都市伝説」である。
そのなかで、5月に内閣改造・党役員人事を行う観測がある。これは会期末などの衆院解散には、選挙を戦うため執行部の強靱化を図り、主要ポストに人気政治家を配するのが目的とされる。選挙の軍師となる茂木敏充幹事長は、岸田との関係が「冷え切っている」(閣僚経験者)。
茂木を交代させ、体制を新たに選挙に臨むという文脈もある。
しかし、やるかどうか分からない選挙のためだけに、通常は重要人事をしない。
とりわけ茂木は次期総裁選出馬をうかがい、茂木を野に放てば、岸田に挑むお墨付きを与えることになる。
5月人事論も根拠は多くない。