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なんと、ヒトにもある…!「わずか数センチの化石」から見つかった「生物進化における超重要」な「頭骨にあいた穴」

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 長い長い進化の中で、私たちの祖先は、何を得て、何を失い、何と別れてきたのかーー  約46億年と言われる地球の歴史において、生命が誕生は、遅くとも約39億5000万年前と言われています。

 そして、最初の人類が登場するのは、約700万年前。長い地球の歴史から見れば、“ごく最近”です。

 

【画像】なんと、2億7千年前に「哺乳類以前の生物」が「体内で熱を作っていた」 

 

 しかし、そのホモ・サピエンスも、突如として誕生したわけではありません。

 初期生命から現在へと連綿と続く進化の果てに、生まれたのです。私たち「ホモ・サピエンス」という一つの種に絞って、その歴史をたどってみたら、どのような道程が見えてくるでしょうか。そんな道のりを、【70の道標(みちしるべ)】に注目して紡いだ、壮大な物語です。

  この『サピエンス前史』から、70の道標から、とくに注目したい「読みどころ」をご紹介していきましょう。

 今回は、頭骨の側頭部に見られる単弓類の特徴的な構造の発生から、残された骨から生物進化を探究していくエピソードや新たな仮説をご紹介しましょう。

  *本記事は、『サピエンス前史 脊椎動物から人類に至る5億年の物語』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。

頭の骨に開いた「窓」

アサフェステラ。カナダに分布する石炭紀の地層から化石が発見された単弓類 illustration by yoshihiro hashizume

 

 先の記事でご紹介した、哺乳類とその近縁のグループで構成される「単弓類」。

 その最初期の生物が石炭紀後期の始まった頃に現れていた。そして、いくつかの候補がある最初期の単弓類の一つに、カナダで化石が発見されている「アサフェステラ(Asaphestera)」がある。

  このアサフェステラの化石として、大きさ数センチメートルという小さな頭骨の一部が知られている。

 カールトン大学(カナダ)のアルジャン・マンたちが2020年に発表した論文によると、この頭骨の一部に、単弓類に共通する特徴ーーつまり、もちろん、これを読んでいるあなたにもある特徴ーーが確認できるとのことだ。

  その特徴の一つが、「側頭窓(そくとうそう)」である。

【第12の特徴】だ。

  頭骨の左右それぞれの側面に穴(窓)が開いている。

 この穴(窓)を、「側頭窓」という。

 数は、左右にそれぞれ一つずつ 。

 側頭窓には顎の筋肉が収納され、その先で筋肉が骨に付着する。

  これにより、力強い咀嚼(そしゃく)が可能となっている。

 ちなみに、恐竜類やその他の爬虫類の多くには、左右それぞれに側頭窓が二つある。

 彼らは「双弓類」と呼ばれている。

 

  「一つの側頭窓」は、単弓類に共通する特徴だ。

 もちろん、あなたにも筆者にもある特徴だ。

   「え? 私の側頭部に穴なんて開いていないぞ」と思われた読者もいるかもしれない。

 いやいや、開いているのである。

 いわゆる「骨」の向こう側だ。

 私たちの側頭窓は、骨の内側に上下方向に開いている。

 この穴に顎の筋肉が通っているのだ。

  骨の少し上、こめかみのあたりに指を当てて、顎をアグアグと動かしてみよう。

 側頭窓を通った筋肉の動きを感じられるはずだ。

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