習近平が失脚しない限り、中国経済は破綻を免れない…中国の「不動産バブル崩壊」が示す地獄の未来
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中国経済はこれからどうなるのか。国際政治学者の舛添要一さんは「習近平は民間の自由な経済活動を阻害している。このままでは、一時的に危機は回避できても、最終的には中国経済の破綻は免れない」という――。 【図表】「バブル崩壊時の日本」と同じ政策を取っている(中国の習近平主席。2023年9月18日、北京) ■反日キャンペーンでむしろ孤立する中国 最近、中国から多くの懸念材料が届いている。
福島原発の処理水海洋放出については、中国は、日本の水産物の輸入を全面禁止するなど、理不尽とも言える反日キャンペーンを行い、かえって国際社会の反発を呼び、孤立している。
また、先に解任された秦剛外交部長(外務大臣)に続いて、李尚福国防部長(国防大臣)の動向も不明になっている。
習近平政権内部で一体何が起こっているのか。
さらに、経済では不動産業界の不振が伝えられている。今やGDP世界第2位の経済大国であるだけに、中国の不振は世界経済にも大きな影響を及ぼす。
それがどれくらい深刻なのか、検討してみたい。
■中国のGDP成長率が激減している これまで中国のGDPは年7~8%程度上昇するのが普通であったが、その中国経済が今や深刻な不調に陥っている。IMFのデータで詳しく見てみよう。
鄧小平が1978年に改革開放路線を打ち出して以来、中国経済は急速に成長し、2010年にはGDPで日本を抜き世界第2位に躍り出た。
その2010年の中国の経済成長率は10.61%であった。 その後も、2015年までは7%以上の成長率が続いた。
2016年が6.85%、2017年が6.95%、2018年が6.95%であり、依然として高水準であった。
2019年は5.95%であったが、年末に新型コロナウイルスが流行し始め、2020年は2.24%と急落した。
2021年はその反動で8.45%となったが、2022年にはゼロコロナ政策で都市封鎖が行われ、2.99%に激減した。
■政府目標の達成は容易ではない 2023年の政府目標は「5%前後」である。
7月17日の国家統計局発表によると、上半期(1~6月)の実質GDP成長率は5.5%。政府目標を達成するには、下半期に4.5%の成長を遂げる必要があるが、それは容易ではない。
今年の4~6月期の実質GDP成長率は、前期比年率で+3.2%である。プラスではあるが、1~3月期は+9.1%だったので、春以降、中国のGDP成長率は大幅に低下しているのである 企業の景況感も悪化している。
PMI(購買担当者景気指数)をみると、8月の非製造業は51.0と今年で最も低い水準だった。
製造業に至っては49.7と50を割り、むしろ不況の方向に進んでいる。新規受注が思ったように伸びていない。
■中国人の「爆買い」はもう期待できない 中国経済の不振の原因の一つとして、個人消費が伸びていないことが挙げられる。
7月の名目小売り売上高は前年同月比で+2.5%であり、6月の+3.1%を下回っている。賃金上昇率がコロナ禍前の水準以下であり、これでは個人消費は伸びない。
また、6月の若年(16~24歳)失業率は21.3%という高い数値であった。 国家統計局は、8月15日に発表する予定の7月の若年失業率の発表を、「測定方法を改善する必要があるため」という理由で取りやめた。
若年失業率増加への当局の懸念を示している。 将来への不安から中国人がかつてのようにお金を使わなくなっているようである。
団体旅行の解禁で中国人観光客が日本に戻ってきても、これまでのような「爆買い」は期待できないかもしれない。
何れ遅かれ早かれ。