“プーチンの戦争”はまだ終わらない…「経済・財政」に綻びなしのロシア、その脅威が衰えない「不都合すぎる真実」
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ウクライナの反転攻勢やワグネルの乱でプーチン体制の綻びが見えたことで、ロシアの戦争継続能力が限界に来ているとの見方が日本に広がっているが、それは危険な見方かもしれない。
【マンガ】外国人ドライバーが岡山県の道路で「日本やばい」と驚愕したワケ 前編『プーチン、侮りがたし…! 意外にも「経済が強いロシア」、戦争が終わらない「ヤバすぎる事情」』でも指摘したように、「反転攻勢によりウクライナが領土を奪還した」との報道が流れているが、過去1ヵ月の戦闘で支配地域を広げたのはむしろロシア軍だったことが明らかになっている(7月11日付ニューズ・ウイーク)。
ウクライナは長期戦の構えを見せているが、この戦略を成功させるためには、ロシア経済が疲弊し、継戦能力を喪失することが肝心だ。 はたしてウクライナの思惑通りに事が進むのだろうか。
堅調なロシア経済
ウクライナ侵攻後に厳しい制裁を課されたロシア経済は、壊滅的な打撃を被ると予想されていたが、インドや中国といった新興の大国が西側諸国の制裁に同調しなかったことが幸いし、危機を脱した感が強い。 米戦略国際問題研究所(CSIS)は今年4月下旬「『制裁によるロシア経済の崩壊』という束の間の期待は打ち砕かれた。
制裁はロシアの戦争遂行能力をある程度低下させているが、戦争を速やかに停止させるという目標はもはや実現不可能だ」と結論づけている。 ロシア経済は堅調さを維持している。
プーチン大統領は7月4日「国内経済が予想以上に好調だ」との認識を示した。「今年の国内総生産(GDP)の成長率が2%を上回り、消費者物価指数(CPI)の上昇率が5%以下にとどまる可能性がある」との報告を受けての発言だ。
エネルギー輸出収入が減少している中、ロシア経済を牽引しているのは製造業だ。
S&Pグローバルが7月3日に発表した6月のロシア製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.6となり、好不況の分かれ目となる50を14ヵ月連続で上回った。
これまで内需が製造業の牽引役となっていたが、6月に入ると輸出受注も増加に転じた。
昨年2月のウクライナ侵攻後、グローバル企業1000社以上がロシアからの撤退を表明したが、欧州ビール大手ハイネケンや米たばこ大手フィリップ・モリスなどは現地で活動を続けており(7月12日付CNN)、ロシア国民は日常生活で深刻な「モノ不足」に直面していない。
西側企業のシェアが大きかった自動車の販売は昨年、大幅に減少したが、中国製自動車のおかげでこのところ深刻な供給不足は解消しつつある。