独裁政権、プーチンよ何処へ行く | よかもん人生のブログ

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"裏切り者"に迫る死の影、ロシア軍上層部の混乱......「プリゴジンの乱」はプーチンに届いたか?

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週プレNEWS

軍上層部を批判する中で、ウクライナ侵略の大義まで否定したプリゴジン。プリゴジンを裏切り者と非難したプーチン。しかし当面は玉虫色の決着に

プーチンの古い〝お友達〟が私兵を動員し、あろうことか首都モスクワへ向け進軍した「プリゴジンの乱」。

 世界中が固唾をのんで見守った約24時間の〝内乱〟の背景と今後への影響を専門家が緊急分析する!

【図】「ワグネル部隊の動き」と「プリゴジンの乱」の推移 * * * 

■プーチンの〝汚れ仕事〟でのし上がった政商 ロシアの民間軍事会社(PMC)ワグネル・グループの創設者エフゲニー・プリゴジンによる〝反乱〟。

 結果的にワグネルとロシア正規軍や治安部隊との正面衝突は回避され、約24時間でカタがついた形だが、重武装の傭兵部隊が首都モスクワから約200㎞の地点までいとも簡単に進軍したことも含め、内外に与えた衝撃は大きかった。

  米政府や情報機関の事情に詳しい明海大学教授・日本国際問題研究所主任研究員の小谷哲男氏が解説する。

  「ワグネルはウクライナ侵攻当初からキーウ周辺の攻撃作戦に参加し、ブチャでの住民虐殺にも関わりました。また、昨年後半から今年春にかけては多大な損失を出しながら東部の重要都市バフムトを一時制圧することに成功したものの、その後撤退しています。

  米当局は事件の2週間ほど前からワグネル部隊の動きを察知し、露正規軍に攻撃を仕掛ける可能性をつかんでいました。

 また、プーチン大統領が事前に蜂起の可能性を把握していたことも間違いないと米当局は分析しています」 プリゴジンはバフムトで激戦が続いていた今年春頃から、「国防省が弾薬をよこさない」「仲間がロシア軍に後ろから攻撃された」などとして、ショイグ国防大臣やゲラシモフ参謀総長を名指しで口汚く批判するSNS動画をたびたびアップしていた。

  そして蜂起の決定打になったとみられるのが、ショイグ国防大臣が6月10日に発表した、「(民間の傭兵など)すべての志願兵は国防省と契約しなければならない」との命令だ。

 これは事実上、ワグネルの数万の兵力を〝私兵〟として束ねるプリゴジンの権益と政治力の源泉を潰そうとする動きだった。

  しかし、なぜ一介のPMC経営者が、政権中枢の政治家と権力争いをするほど肥大化したのか? 『プーチンの正体』(宝島社新書)などの著書があり、ロシアの権力構造に詳しい軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏はこう語る。

  「プリゴジンはプーチンのお膝元・サンクトペテルブルクのチンピラ出身の企業家です。プーチンと知り合ってコネで財を成し、彼の利益からプーチンの親族に相当額のカネが流れるなど、いわば企業舎弟的な存在といえます。

  プーチンが国家指導者となってからは、国際的なネット世論誘導工作、傭兵部隊投入など政府が表立って関与できない裏工作を行なう際に、プリゴジンを名目上のトップとする民間企業を経由して予算を支出するスキームを組んできました。要するに〝汚れ仕事〟を肩代わりし、政商としてのし上がっていったわけです。

  ワグネルもそうした企業のひとつで、当初はGRU(露連邦軍参謀本部情報総局)の指揮下にありました。ところが、目立ちたがりのプリゴジンは傭兵ビジネスに口を出すようになり、プーチンとの関係を利用してワグネルを私物化していきました。

  それでもワグネルは対ウクライナ戦で捨て駒・鉄砲玉として利用価値があったため、プーチンが予算を回し続けてきたという経緯があります」 ややこしいのは、その過程で一般のロシア国民の間でプリゴジンの人気が高まってきたことだった。本来は表舞台に立てない〝影の存在〟のはずのプリゴジンだが、 「ショイグ! ゲラシモフ! 弾薬はどこだ! おまえたちのために仲間が死んでいる」(5月5日) 「ワグネルは国防省といかなる契約も締結しない。

 ワグネルは優れた指揮系統を持っているが、ショイグはロシア軍を正しく統制できていない」(6月11日) といった軍上層部への猛烈な批判に加え、「ディープステート(影の政府)」「くそったれな金持ちども」といったワードをちりばめながらトランプ前米大統領をほうふつとさせる反エリート発言を主にSNSで繰り返し、庶民の心をつかんだ。 ロシアの独立系世論調査機関レバダ・センターによれば、今年5月には国民人気が急上昇し、「最も信頼できる政治家」の5位にランクインしたほどだ。