第三次世界大戦だけは避けねばならないが、
追い詰められた専制国家のロシア&中国が軍事協定で手を結べば、近い将来、第三次世界大戦は防げない。
中国、武器供与と引き換えに「ロシアを子分に」 米が計画暴露し警告 戦争継続能力が弱体化、核使用なら戦争は制御不能に
【ニュースの核心】 ロシアのウクライナ侵略から1年となるなか、専制主義勢力である中国とロシアの接近が警戒されている。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは21日、中国の習近平国家主席が数カ月以内にロシアを訪問すると報じた。
アントニー・ブリンケン米国務長官は直前、中国が殺傷力のある武器提供を検討しているとの情報があると暴露した。
ドイツ誌が報じた「中国によるロシア軍への無人機(ドローン)売却計画」とは。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は24日の記者会見で、「中国がロシアに武器を与えないと強く信じている」と牽制(けんせい)したが、西側の自由主義勢力はどう対峙(たいじ)するのか。
ジャーナリストの長谷川幸洋氏が最新情報をもとに分析した。
ロシアによるウクライナ侵略戦争が開戦から1年が過ぎた。
ここへ来て、中国による「ロシアへの武器供与」の可能性が浮上し、戦いの行方は一段と不透明になってきた。
事実なら、中国は何を狙っているのか。
米国のブリンケン国務長官は18日、訪問先のドイツで、中国の外交トップである王毅共産党政治局員と会談し、「中国がロシアに武器供与を検討している、という情報がある」と暴露し、武器を供与すれば「米中関係に深刻な問題を引き起こす」と警告した。
情報の真偽は不明だが、米国は昨年2月の開戦前も、ロシア軍がウクライナ周辺に集結している情報を世界に公開し、ロシアを牽制(けんせい)した実績がある。
米国の諜報能力を考えれば、十分にあり得る話だろう。
それを前提に考えると、興味深い点がいくつもある。
まず、中国がこのタイミングでロシアへの軍事支援を検討しているのは、ロシアの戦争継続能力が弱体化している証拠だ。 ロシアは北朝鮮やイランから弾薬やドローンなどを調達しているが、頼りにする「本命」は中国だ。
その中国は一部で「民生用ドローンを提供している」と報じられたものの、本格的な支援を控えてきた。
だが、いよいよ中国が支援に乗り出さざるを得ないほど、「ロシアは武器調達に苦労している」という話になる。
中国としても、ロシアに負けてほしくない。
もしも敗北して、ウラジーミル・プーチン大統領が失脚すれば、その後の政権がどうなるか分からない。
ロシアが改革に向かって、親米政権でも誕生したら、最悪だ。 中国にとっては、ロシアの完全勝利は無理でも、何とかプーチン氏が生き残って、中国に頼らざるを得ない程度に弱体化するのが、ベストシナリオなのだ。
ロシアから安く天然ガスと原油が手に入り、しかも、経済援助と引き換えに「中国の子分」になるからだ。
武器供与と引き換えに、プーチン氏が戦術核に手を伸ばすのを、阻止しやすくもなる。
もしも核が使われてしまったら、戦争は制御不能に陥ってしまう。
それは中国も避けたいはずだ。
戦闘を制御可能な範囲でロシアに持ちこたえさせるためにも、ここで武器供与を考えたのではないか。
加えて、将来の「台湾侵攻」に備えて、西側を長期の消耗戦に引き込む狙いもあっただろう。
だが、以上は「米国に知られずにすめば」の話だ。
ところが、米国は中国の動きを察知し、中国は公然と警告されてしまった。
習国家主席は「オマエたちは、一体何をやっているんだ」と怒り心頭ではないか。
「偵察気球(スパイ気球)」問題に続く大失態である。
◆岸田首相の「平和ボケ」心配 それは、王毅氏がその場で言い返せず、後になって、中国外務省が「米国に命令する資格はない」と負け惜しみのように反発したことに示されている。
中国は米国がどう察知したのかを見極めて、万全の対策を講じるまでは、いったん武器供与計画を中断せざるを得ないだろう。
今回の一件は、中国の肩入れ姿勢を浮き彫りにした。
これによって「ロシア+中国・北朝鮮・イランの専制主義勢力」vs「ウクライナ+西側の自由主義勢力」という戦争の構図が一段と明確になってきた。
ジョー・バイデン米大統領は戦地のウクライナを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領を激励した。
北朝鮮の弾道ミサイルが発射され、自国の排他的経済水域(EEZ)内に撃ち込まれそうになっても、鼻の治療を受けていた岸田文雄首相の「平和ボケ」ぶりが、ますます心配になる。
■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。