「次のパンデミック」について、WHOが最も警戒感しているのが「鳥インフルエンザ」だ。 【写真】医者が明かす「痛い死に方ランキング」ワースト50 アメリカでも家禽類の殺処分が過去最悪を記録し、日本にもその流行が広がっている。過去にはヒトへの感染例が多数報告されているが、現在の流行の背景には、ある「疑惑」が存在しているという。 というのもいま大流行している「H5N1型鳥インフルエンザ」は、いったんは自然界から消滅したと考えられていたからだ。 前編記事『WHOが警鐘をならす「次のパンデミック」、鳥インフルの「ウイルス感染経路」にひそむ新たな「謎」のヤバすぎる正体』につづき、その疑惑についてお伝えする。
日本政府の死者想定は「コロナの10倍」
変異株への警戒感は世界で高まっている Photo/gettyimages
日本では3年ぶりにインフルエンザが流行し、全国各地で学級閉鎖などが急増しているが、人に感染するインフルエンザはH1N1型とH3N2型だ。 ウイルスが感染するためには宿主の受容体(レセプター)と適合する必要がある。 H5N1型インフルエンザは鳥のレセプターと適合できるが、人のレセプターとは適合しずらいとされている。ただちにパンデミックが起きる心配はないが、鳥から人への感染例は少なからず発生している。 H5N1型インフルエンザの人への感染が最初に報告されたのは1997年5月、香港だった。18人が感染し、そのうち6人が死亡した。 その後、欧州や北米、アフリカなどにも波及し、世界全体の感染者の累計は868人に上り、そのうち457人が亡くなっている。 政府は新型コロナのパンデミックに対処するため「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく措置を講じているが、H5N1型インフルエンザがパンデミックを引き起こした場合への備えがこの法律が制定された理由の1つだった。新型コロナの登場で注目されることがほとんどなくなったが、つい最近まで「次のパンデミックは鳥インフルエンザ由来だ」と警戒されていたのだ。 H5N1型は全身に症状があらわれ、致死性が高いのが特徴だ。病原性が高いまま人に感染するタイプになると仮定して、政府が導き出したH5N1型による死者数は最大64万人だ(現時点の新型コロナによる死者数の約10倍)。