撃墜で一気に緊迫、「気象研究用が誤って米国に進入」のわけがない中国気球
後付けですが👇動画
(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)
アメリカ本土上空で中国の偵察用気球が確認され、反発したアメリカが、1月5日から予定されていたブリンケン米国務長官の訪中をキャンセルするなど問題となっています。
この気球は、日本時間の5日早朝、サウスカロライナ州沖の大西洋上に出たところを、米軍のF-22戦闘機が撃ったミサイルによって撃墜されました。中国側は「過度な反応だ」として強くアメリカ側に抗議しています。
この気球で思い起こされるのは、2020年6月に仙台市上空で確認された気球騒ぎです。
2021年9月にも、同種とみられる気球が八戸市上空で確認されています。
また、2020年10月に秋田市上空でドーナツ状の光が見えたとの報告がありますが、これも気球だった可能性があります。
当時も、これが偵察目的の気球ではないかとの推測が多数ありました。確認された位置が、米軍三沢基地に近い八戸やイージス・アショアの建設予定地だった秋田新屋演習場上空だったことも関係しています。
今回アメリカで確認された形状の酷似した気球は、中国が飛ばした偵察用気球だったことが明らかとなりました。
そのため仙台市、八戸市で確認された気球も、中国の偵察気球だったことが確定したと言ってよいでしょう。
日本上空を領空侵犯した気球が偵察活動を行っていた可能性が高いのですから、これは由々しき事態です。
今回、撃墜された気球は、回収されて仕様や性能が間を置かずに明らかになると思われますが、本稿では、主に仙台市上空で確認された際の情報を元に、この偵察気球の能力を推定し、今後、自衛隊が採るべき対処とその可能性について考察します。
■ 中国は「気象研究用」と釈明 今回、アメリカで確認された気球は、写真を見る限り、仙台および八戸上空で確認されたものと酷似しています。 報道では、今年1月末頃にカナダ上空を経てアメリカ領空に侵入し、モンタナ州にあるICBM(大陸間弾道ミサイル)基地を偵察したようです。
中国で放球されたのか、カナダ領内で放球されたのかは不明です。可能性としてはどちらもあり得るでしょう。太平洋戦争中、日本が米本土に向けて風船爆弾を放ったことからも明らかなように、中国からアメリカまで飛翔させることも可能です Based on some backwards trajectory it would seems the military's theory on China makes a whole lot of sense. https://t.co/8SiAC8Y4us pic.twitter.com/DZyeB5GuhT ― Nick Stewart (@NStewCBS2) February 3, 2023 アメリカ国防総省の高官が「中国の気球であると確信している」と述べています。
過去に確認された同種の気球を撃墜したか、あるいは墜落したものを確認した、さもなくば過去3回、同様の気球がアメリカ上空に侵入していたとの情報があることを考えると、放球からアメリカ領空侵入まで、継続して確認していたことによる確信だと思われます。
中国は、当初否定していましたが、アメリカで反発が強まったことを受け、気象研究用のものが誤ってアメリカ領空に進入したとして遺憾の意を表明しています。
今回、米軍が撃墜したため、残骸の確認で詳細が明らかになるでしょう。
■ 旅客機より高高度を飛行、巨大な機体に偵察機材を搭載 今回確認された気球については、現段階では情報が多くないため、過去日本で確認されたもの、特に2020年6月に仙台で確認された気球の情報を元に、その仕様と性能を推測してみます。
この続きは7番まである長い文章です。
末尾には👇
■ 中国に断固たる処置を 本記事の主要な内容は、仙台で気球が確認された2020年の段階で筆者が考えたものです。
当時日本政府は、あの気球に何らの対処も行いませんでした。そのため、記事化は控えていました。
しかし今回アメリカが問題視したことで、今後は対処することが必須となるため、記事としてまとめました。
中国側は、気象観測用の気球が“不可抗力”でアメリカ上空に入ってしまったと発表しています。
しかし、説明したように、この気球は、風の弱い高高度を移動用のプロペラによって経路修正ができるものです。
不可抗力などということはありません。中国の違法な軍事偵察に対しては、断固たる処置が必要です。
数多 久遠