アメリカが大統領選挙前に南シナ海で中国の横暴を許さぬと決断した。
トランプ大統領の決断を日英欧や自由諸国が後押しする。
中国が反発し戦火を交える事になれば、世界大戦まで視野に入る。
米国が一線越えの果たし状、風雲急を告げる南シナ海
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マイク・ポンペオ米国務長官。2020年7月13日、中国の南シナ海領有権主張に対する米国の立場を公式文書で表明した(写真:代表撮影/AP/アフロ)
(北村 淳:軍事社会学者) アメリカ政府は、これまで永年にわたってアメリカ外交の伝統の1つとしてきた鉄則からついに一歩を踏み出した。南シナ海での中国の領域主張を否定するだけでなく、中国と領域紛争中の諸国側を支持する立場を明確に表明したのである。 【地図】中国、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、台湾が入り乱れて主権を主張している南シナ海の南沙諸島海域 ■ アメリカ外交の鉄則とは アメリカは第三国間の領域紛争には中立的立場を貫くことを外交の鉄則としてきた。 様々な手段を用いて、“味方をする”側を実質的に支援することも少なくなかった。しかしながら、そのような場合でも表面上は中立を保っていた。すなわち、アメリカ政府として領域紛争当事者の一方の主張を公式に否定し、他方の主張を支持するという、外交的立場を明確にすることは断固として避け続けてきたのである。
その鉄則は、南シナ海全域で中国が強大な海洋戦力を振りかざして近隣諸国を威嚇し、南シナ海全域に対する中国の軍事的支配を確立しつつある状況に対しても適用されてきた。アメリカ政府はこれまで懸念を表明し続けてはいるものの、中国政府の主張を完全に否定して、中国と紛争中のフィリピン、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、インドネシア、台湾などの主張を明確に支持するという立場を明確かつ公式に表明することは避けていた。 中国に対して融和的であったオバマ政権はもちろんのこと、トランプ政権といえども、これまでは南シナ海領域紛争に関する明確な立場を表明してはこなかった。 ■ 外交の鉄則に制約されてきたFONOP ただし、アメリカがまったく無策でいたわけでない。中国が南沙諸島に人工島まで建設し始めると、オバマ政権は中国に対して懸念を表明した。そして、南シナ海に軍艦を派遣して公海自由航行維持のための作戦(FONOP)を実施し、アメリカの威信を示して同盟国や友好国の信頼をつなぎ止めておこうとした。 だが、オバマ大統領はFONOP(南シナ海での、以下同じ)にそれほど積極的ではなく、オバマ政権下でのFONOPは数カ月に一度のペースで極めて散発的に行われたにすぎなかった。 トランプ大統領も就任直後は習近平主席との関係が悪くなかったため、FONOP実施のペースは若干上がった程度に留まっていた。しかし、米中関係がギクシャクし始めると、昨年(2019年)初頭あたりからのFONOPのペースは目に見えて上がってきている。
賽は投げられた~~~結果は待つだけです。