骨折体験記~リストラへの鎮魂歌 | よかもん人生のブログ

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今から7年前の1月下旬早朝、5時頃。

深々と降りしきる雪の中、会社の駐車場は完全に凍てついていた。

悪いことに駐車場を照らす常夜灯も数日前から消えたままの中、

消雪パイプから出る水は地面に溶け残りの部分を作って、そこがアイスリンク並みに凍っていた。

灯りがあれば簡単に避けて通れるのだが、闇の中ソロリソロリと歩き出し、

駐車場の半ばまで来たとき、足を取られた。

両足が宙に浮かび上がり、頭を打ち付けないために思わず右手を着いた。

ギクッ・・・しまったと思ったのは後の祭り。

右手首が痺れ、それまで骨折の経験がなかったため、その時は捻挫と勘違いした。

何とか着替え、仕事を始めようとしたとき、手首にどうにも力が入らない。

何かおかしいが、まだ重い捻挫と考えて、その場に居合わせた同僚に事情を説明して早退した。

家で湿布して整形外科の開くのを待合室で待っていた。

「右手首骨折ですギブスをします」と無情な宣言で4ヶ月にも及ぶ通院が始まった。

不幸中の幸いは、労災認定で治療費がタダになったことぐらい。

その日の内に娘の運転で会社に行き事情説明となったが、

会社の回答は、作業出来なくとも、指導は出来るでしょう、明日から出勤して下さい・・・

それからの2ヶ月間は、鍛え上げ、年季の入ったアゴでの仕事になった。

ギブスが取れるまで毎朝、娘が運転してくれて出勤した。

40年近く培ってきた技術をこの時とばかりに「アゴ」が語り、同僚や後輩からは大いに有り難がられた。

その反面、工場長を含む技術幹部たちからは煙たがられた。

幹部たちには地位保全の態度が見え見えであり、此方にその気がなくとも、態度がよそよそしく感じられてきた。

この会社は、請われて転職してきた会社、定年後まで残る未練はさらさら無かった。

肉体の骨折はこれが最初で最後でありたいが、仕事の骨折は長い人生で度々体験してきた。

傲り高ぶり放漫経営の末、父親が築き上げた会社を倒産させた社長。

バブルに踊らされ、本業から目を背けた末、倒産させた社長。

労働争議の末銀行管理となった会社社長。

技術0のやる気無し銀行派遣社長。

倒産という骨折やリストラという骨折は、何時誰の頭上に降りかかるかも判らない災難です。

その災難を乗り越え、再生するには、

再生しようとする意欲と体力、再生を手助けしてくれる人と企業が必要です。

何が大事で誰が本当は必要かを判断出来る人はわずかです。

リストラを心配される人は持てる技術の全てを人に教えてはいけません。

時代が変わったのです。

自分の価値を高める事こそ生き残る道で、足の引っ張り合いに巻き込まれないことが肝心です。

現役時代こんな馬鹿げた事をうそぶいて会社を倒産させた社長がいました。

もう全ての技術は取得した、研究開発室はもう必要ない。・・・

これからは、今までの技術をそのつど出して行けば、業界一になれる・・・

奢れるもの久しからずで、人を見る目のない会社は直ぐ倒産してしまった。

リストラにあった人、心配されている人は、持てる技術の性能を高め、来るべき時に備えて下さい。

社会を恨む前に、それが自分や家族を守る道です。

肉体の骨折は今は完治しました。

覚悟の上の定年退職を楽しむ毎日です。