まだ現役バリバリの頃、試作品のテストをするために、小型のテスト用焼き釜に点火しようとした。
いっもなら直ぐに火がつくのに、点火が吸い込まれるような感じの直後・・・ドカ~~~ン。
炎と爆風に後ろに仰け反り飛ばされた。
顔面から痛みが走る。
長袖服と手袋姿で眼鏡をしていたために、顔面だけの損傷。
元栓を止めた後は、直ぐに水場に走った。
ぬれタオルで顔を覆ったまま、外科医へ連れられていった。
直ぐに緊急治療が開始された、幸いなことに瞬間火傷であったため、
お湯や油の時と違い、未だ軽症の部類とのこと。
それでも顔中頭ごと包帯でぐるぐる巻きにされた。
他は無傷のため、早退することにして、同僚は止めたが、自分の車で帰ることにした。
道々人が好奇の目で見ている。なにしろミイラかフランケンシュタインが運転しているのである。
家では妻が驚天動地、オロオロしていた。
その日は朝から大雨であったが夕方になり、町内の川が溢れそうになった。
緊急招集が懸かり電話と共に、人が迎えに来るが、顔を一目見るなり、戻る。
それが二度三度と続く。
妻が現場に急行し事情を説明しやっと納得して貰った。
10日程で包帯が取れ完治後は火傷のあとも残らなかった。
後で聞いたら釜の後ろのガス管が大きく裂けていたという。
事故とはこんな物である。
ガス管が裂けていることなど思いも寄らなかった。
運不運は紙一重の実体験の一つである。