映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』

 

いきなり男女のアノ場面から始まるコメディタッチの映画。2017年公開、PG12指定。

なるほど、1人の人間が死ぬということは、大変な出来事なんですね。

残されたおばあちゃんは痴呆症。家の庭や座敷で平気でおしっこをしてしまいます。誰かがこの人の面倒を見なければなりません。

亡くなったおじいちゃんと痴呆のおばあちゃんには3人の子供(ABC)がいます。

息子たち(中年となった兄Aと弟B)は仲が悪く、何事も骨肉の争い。

娘Cは優雅な独身貴族で、介護の泥をかぶろうとしません。

甥っ子や姪っ子は人間としての距離が離れていて、人生経験が少ないから、いざというときには何の役にも立ちません。

葬式で悲しそうな表情をする肉親は誰もいないわけです。

さらに、坊さん達の読経はあくまでも仕事。仕事が終われば、多額のお布施をもらい、スキップを踏んでご帰宅。

そういったことが、おじいちゃんが死ぬことで、突然表面化してきます。

親が死んでも、残された人間はたくましく生きていくしかありません。人生、老い、家族愛といったシリアスなテーマを、肩肘張らずに描こうとした監督(森ガキ侑大)の名前を覚えておきたいと思います。

 

評価★★★☆☆

 

映画『めがね』

 

映画『かもめ食堂』(2006)を作成した監督(荻上直子)と主演(小林聡美)の名コンビが、与論島に舞台を移して作ったのがこの映画『めがね』(2007)です。『かもめ食堂』が大変面白かったので、今回も期待して見ました。

しかし開始から何分経っても、事件も出来事もほとんど起きません。携帯電話の電波も届かない島では、訪れるところもなければ、訪れてくる人もなく、ただ時間が流れ、月日が経っていきます。

都会生活に病んだ人がスローライフに浸って自分を取り戻していくのがテーマだというのは分かりますが、映画としてはあまりにも退屈。作品中には音楽さえもほとんど流れず、はらはら、どきどき、トキメキなどは一切ありませんでした。

与論島という美しいロケ地なのだから、せめて波の音や白砂の海岸を詩情豊かに描くなどの工夫が欲しかったです。

評価★★☆☆☆

 

映画『かもめ食堂』

 

『かもめ食堂』(2006)の主演は小林聡美(57歳)・片桐はいり(59歳)・もたいまさこ(70歳)の女優3人。

3人とも若さや美貌を武器に仕事(主演の座)を取ってくる年齢ではありませんが、ほどよく枯れた良さがあり、登場後数分で見る者の心をグッとつかんでしまいます。実力派の3人の演技には、改め感心しました。

フィンランドのロケ地には現在も「かもめ食堂」が残されていて、日本人観光客が多く訪れているそうです。フィンランドは映画『雪の華』の舞台に選ばれていましたが、夏は森が美しく、冬には白夜が見られて、住むのは大変そうですが、観光ならぜひ行ってみたい国です。

一言で表現するなら、見る人をほっこり幸せにする映画。美人女優や若い俳優が出てこない映画なのに、遠赤外線効果のように心が暖かくなりました。
 

評価★★★☆☆

 

映画『リトル・マエストラ』

 

主演は有村架純、2013年。共演者には、釈由美子や蟹江敬三、松本利夫(EXILE)らビッグネームがいたのでちょっと期待していましたが、残念ながら、完全なB級作品。

共演者たちによる地元民としての演技も、オーケストラ奏者としてのパフォーマンスも、どちらも形だけ。さらに出演依頼した地元住民の演技があまりにも素人くさくて、いただけませんでした。(例:バスケットの試合で、選手がボールやプレーヤーに注目するのではなく、床に書かれた立ち位置のマーキングを追って目が泳いでいる)

有村架純はこの映画に出たときにはまだ大ブレイク前で、薄化粧の顔にはニキビ痕。ういういしさがいっぱいでした。

 

評価★☆☆☆☆

 

映画『翔んで埼玉』(2019)

一言で言うと、最高に楽しい娯楽作品でした。2020年の日本アカデミー賞でも3部門で最優秀賞を戴冠しています。

ストーリーはネット検索すればいくらでも出てくるでしょうからここには書きませんが、原作者は埼玉をディスりながらも心から愛していることがよく分かります。

十万石まんじゅう、しらこばと、山田うどん、草加せんべい、深谷ネギ、ファミマ、ファッションセンターしまむらなど、映画には埼玉らしさが満載されているばかりではなく、「ださいたま」と揶揄されることを受け流しながらも、心の奥底では悔しがっている埼玉県民の微妙な感情を、見事に表現していました。

埼玉や関東各県のことを少しでも知っていると、映画を楽しめる作りになっていますが、関東のことを知らない人にとっては、肌感覚がないと伝わりにくいところがあるかもしれません。

嬉しいことに、2022年には続編『翔んで埼玉Ⅱ』が見られるようです。恐らく、埼玉を徹底的にディスりまくったり、前回出てこなかった別の市町村などが話題に上ったりするのかもしれません。今から公開が楽しみです。

 

評価★★★★★

 

映画『お元気ですか』(2016)

正直に言うと、私はこの映画の存在も、監督や俳優陣も誰一人知りませんでしたが、あまりにも素晴らしいヒューマンドラマに心が洗われ、生きることの素晴らしさを再発見させられました。

主演の宮澤美保は松下奈緒や井上真央に似た雰囲気の女優で、映画出演時に42歳、現在は48歳。彼女はこの映画で、ユナイテッド国際映画祭(外国映画部門)において最優秀主演女優賞を獲得したそうです。

死を選択することにした主人公は、実行に移す前に、旅先から生前世話になった人たち(勤め先、元担任教師、元恋人など)10人を選んで、感謝の気持ちを伝えたり、お詫びをしたりします。9番目に選んだのが父母。そして人生最後の10番目の電話相手に選んだのは・・・

お~、まさかの選択とその後の展開。

鬱で悩んでいる人、死ぬことしか考えられない状況の人に、ぜひ見てもらいたい秀作映画。87分と短めなのもありがたいです。

 

評価★★★★☆

 

映画『雪の華』

 

毎年、冬がやってくると無性に聞きたくなる中島美嘉の『雪の華』ですが、アマゾンプライムで映画『雪の華』(2019)を見ました。



映画では、『雪の華』の歌詞や雰囲気を壊さないようなリスペクトがいろいろな場面に感じられました。脚本家や監督は、有名な歌を映像化するために大変な苦労があったと思います。

フィンランドの雪景色も素晴らしかったですが、葉加瀬太郎のバイオリン演奏も実に良かった。


評価★★★★☆


映画『愛を積むひと』(2015)

 

主演は佐藤浩市と樋口可南子。二人の枯れた演技が心に響きました。
そしてまた若い頃の北川景子はまさに美女!こんな人をモデルにポートレート写真を撮りたいものです。

この映画では、石塀を人生や世の中にたとえています。塀は見栄えのいい石ばかりでできているのではなく、小さくていびつな石が支えているからこそ成り立っている、と。
どんなにつまらない石のように見えても、そのピースがなければ、人間関係が崩れたり、別の風景になってしまったりします。無駄なもの、必要のないものは、世の中には一つもいないと思わせてくれる映画でした。


評価★★★☆☆

 

映画『水戸黄門』(1978)

 

40年前の『水戸黄門』は超豪華キャストでした。

黄門様は東野英治郎、助さんは里見浩太朗、格さんは大和田伸也。八兵衛に高橋元太郎、風車の弥七は中谷一郎。

さらに、栗原小巻、ハナ肇、植木等、谷啓、山口いづみ、かしまし娘、牧冬吉、加藤嘉といった、当時輝きを放っていた出演者たち。

竹脇無我や三船敏郎といった他の映画なら主役級の俳優が、脇役となっていたのには驚きました。

痛快無比の勧善懲悪。まさに娯楽の最高傑作でした。

 

評価★★★★☆

 

映画『サイレンス』

 

遠藤周作の純文学小説『沈黙』を土台に作られた映画『サイレンス』。

上映時間が3時間と知って、座席はトイレに行きやすいところを選びましたが、まったく長さを感じない映画でした。
原作を読んだ大学生のとき以来の、静かな湧き上がる感動を覚えました。「なぜ神は我々にこんなにも苦しい試練を与えながら、沈黙したままなのか?」

3時間のあいだ、音楽らしいものはほとんどありません。花を添える美女もいません。エンディングロールには映像すらありません。それがまたこの映画の良いところだと思います。楽しい映画ではないので人様にはおすすめしませんが、個人的には大満足の映画でした。

 

評価★★★★★

 

映画『君の名は。』

 

作り込んだ精緻な映像美、声優の役に入り込んだパフォーマンス、意外なストーリー展開、そして考えぬかれた音楽。青春期独特のほろ苦いペーソス、運命は変えられるんだという強いメッセージ。

『秒速5センチメートル』も忘れられない映画でしたが、新海誠監督は宮﨑駿を超えるアニメ監督になるでしょう。

評価★★★★★

 

映画『利休にたずねよ』

 

私がぬかずくのは美しいものだけ・・・

日本の四季おりおりの風景の美しさ、茶道を通した日本人の美意識などが詩的に表現されていて、映像美にあふれた作品でした。

それにしても「高麗の女」役のイ・ソンミン(現在名クララ)の整った顔立ち。整形しているのだろうか。

 

評価★★★★☆

 

映画『八日目の蝉』

 

『八日目の蝉』を見に行ったのは、エンディングロールで中島美嘉の曲が流れると聞いていたからでした。

瀬戸内の美しい自然を背景に、母性をテーマにした意外性にあふれたストーリー展開、井上真央と永作博美の鬼気迫る演技力に、恥ずかしながら涙腺崩壊となりました。

感動があまりにも大きかったので、その後WOWOWで放送があっても見る気にならず、あのときの余韻は心の底にしまったままにしています。

 

評価★★★★★

 

映画『のぼうの城』

 

こんなに面白い映画だったとは。野村萬斎の気品あふれる演技と、質の高い娯楽性にとても満足しました。


評価★★★☆☆

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

この記事は個人的な感想で、備忘録です。

 

申し訳ありませんが、私のブログにコメント欄はありません。