京都八坂神社の枝垂れ桜は、この時季ライトアップをしてかがり火も焚いてると聞き、そうだ京都に行こう！

３月もオワリの昨日、こんな桜の時期なのに新幹線は５割ほどの乗客で　平日だからか　まだ桜には早いのか・・・

とりあえず比叡山にも登ろうと　トレッキングシューズにリュック、かがり火を撮るための重い三脚も用意して岩倉行きのバスに乗り込めば、

河原町五条のこの十字架の建物は、学生時代に通ってた英会話教室があった教会。

８年前に来たときにも驚いたけど、昔より随分とリッパな建物になってる。

三年坂の入口のところでアッと言って手を離したのは、この英会話教室の先生だった人。

聖心女子を出てアメリカ留学から帰ってきて教えていた。

生徒はそれぞれアチラ風の名前を付けることになり、メアリーとかアン、男はアレックスとかジョージという中でオレはあのころ流ってた「明日のジョー」からジョー。ずいぶん不良っぽい名前ねって言いいやがったけど・・・

バスは平安神宮の鳥居をくぐり、

白川通りを遡って１時間ほどで、めざす比叡山への登り口がある修学院離宮道バス停　到着。

住宅街のすきまから　目指す比叡山が見える。

道端のお地蔵さんも、手入れが行き届いていて　さすが京都？

８年前は、親鸞や法然も登ったという雲母（きらら）坂の登山口から登ったけれど、学生時代に登ったのと初めのうちの景色がどうも違うような気がして調べ、昨日は昔と同じ赤山禅院脇から。

山門をくぐり、

参道を行くと、

赤山大明神。

拝殿の屋根に　金網に入れられた鬼門避けの猿がいて、比叡山延暦寺の守護神の神猿（まさる）とも言われてるらしい。

猿（申）は、方位でいうと鬼門の反対である西南西を指すことから、邪気を払う力があるとされていて、金網の中に入れられているのは、夜になると暴れだし、いたずらを繰り返したためなのだとか。

さて、行くか　９時半スタート。

リュックの中の、かがり火用に持ってきた三脚が重い。

ヨコは修学院離宮の領地、宮内庁の管轄だ。

今日は夜桜見物のほかに、もう一つ楽しみがあって、１月にゴルフに行く途中でラジオから流れてきたアダモの「ブルージーンズに皮ジャンパー」を聞いて思いだした学生時代の下宿のトナリにあった喫茶ポエム。２階の秘密の雀荘が警察に踏み込まれて閉店になりその後釜に出来たのが小さな「じゅんさい」という名前のレストランだった。

看板メニューが、アルミの鍋に豚肉を白菜や他の野菜と一緒に炊き込んだ「じゅんさい鍋」。

生卵が一つ落としてあって、定価はたしか５００円だった。いつも１５０円くらいだったトン汁定食を食べてた身にとっては大ゴチソウだったが、ある時風邪をひいてどうしようもなくなり「じゅんさい鍋」を頼むと、マスターが白い料理服ののまま下宿まで運んできて、外から窓を開けて差し入れてくれた。

８年前のときに、「じゅんさい」は　まだあるのかと調べたけれど北白川のほうに移転していて　あのあたりは土地カンもないし時間もなかったのでそのまま。

それが　あの記事を書いた後、「じゅんさい」は宝ヶ池にあると教えてくれた人がいて、エッ　どういうこと？

もうギモンに思うと確かめたくなるのが人情ってもん、早速宝ヶ池にあるという「グリル・じゅんさい」に電話をすると、あの時の奥さんと言う人が電話口に出て、北白川通りの店は別れた亭主がやってたけど亡くなって閉店しました。

イキサツを話し今は横浜にいるというと随分と懐かしがってくれて、もうおばあちゃんだけど　こちらに来ることがあったら是非寄ってくれと言われたが　まさかあの時は、今年に行くことになるとは全く思わなかった。

大体が、電話で話した人があの時の奥さんか？もう５０年以上というか６０年近く経ってるんだし　ムスメさんかもしれない。

それより別れた亭主ってダレだ？あのマスターのことか？それともムスメのダンナ？

まあ比叡山から降りてくれば丁度お昼時、あそこで食べようと決め、それなら８年前に頂上に行ってるから今日はケーブルカーの駅までだな。

オッ、クマの食べ残し？

これが　かの有名な叡山スミレ？

ちょっと違うような気もするけど、唯一見かけた野草だった。

案外にワイルドな道だけれども、

きらら坂の方からのほうがキツかった感じもするのは、

少しは山登りに慣れてきたからかも。

出た、水飲対陣之跡。

後醍醐天皇のころ、足利尊氏とダレかが戦った跡だというが、学生時代に見たときより随分と汚れて磨り減ってる。

古いアルバムには裸でここに上がった写真が残ってるけど、ちなみにそのわけは、この上に上がれば京都市内が見渡せるんじゃないか？と思ったからで決して高いところが好きなワケじゃない。

初めて遭遇したのは、オーストラリア人で、日本語を勉強しに来てると言ってた。

そうそう、ちょっと行けば　なにも石碑に登らなくても市内が見渡せるところがある。

正面は岩倉方面。

女人結界跡。

明治時代まで、比叡山は女人禁制だったというからな。

真ん中の山をはさんで　左が京都の中心部。

山は五山の送り火のときに「妙法」が焼かれるんじゃなかったかな。

一応いるらしい。

昼は「じゅんさい」と決めてたから、持ってきたのは　はるみオレンジ１っ個。食いにくい～。

あの匂いがしてきて　樒（しきみ）だ。強い匂いは葬儀のときにいろんな匂いを消すために使われる。

コロナ下で熊野古道を歩いたときに地元のお百姓さんが栽培していて、ここらじゃこんなもんしかゼニにならんと言ってた花。

ここは風の通り道か？

急に肌寒くなって、雪が残っている。

１時間４０分がかりで　ケーブルカー駅のヨコに出ると、ケーブルがゴロゴロ引っ張られていて、もうすぐ上がってくるなとカメラを構えて待ち伏せ。

比叡山の標高は８４８ｍ、ミツマタを観に行ったミツバ岳は８３４ｍ　似たようなもんだけど知名度には圧倒的な差がある。

さ、今日はここでカンベン、そろそろおなかもすいてきたしな。

ケーブルの駅に貼ってあったポスターは千日回峰のお坊さんの写真。

何度も言ってるけど、学生時代に登ったときは、そっくりこの格好をした坊さんがタッタッタと山道を駆け下りてきて、思わず道を譲ったからな。

ひなびた叡電の八瀬駅。

桜、少し咲いてる？

バスで来るときも、それほど咲いてなかったし　枝垂れ桜はダイジョブか？

昔のエイデンを思えば、すげェスタイルになったもんだ。

宝ヶ池で降りて鞍馬方面行きに乗り換え、次の八幡前駅で下車。

この駅に降りるのも５５年ぶりくらい。

「じゅんさい」のあとも、下宿のあともすっかり様変わりしてるけど、正面に比叡山が見えるこの景色はそのまんまだな。

勝手知ったる道を歩いて、「グリルじゅんさい」に着いたが、お客さんが一杯。

ハンバーグとクリームコロッケを頼み、話せる隙を覗っても　あの奥さんらしき女性はお客の応対に忙しく、ハンバーグに突合せのエビのフライはもう売り切れましたとか、ずいぶんと繁盛してるみたい。

とてもおいしくて、どうも応対を聞いていると地元の顔なじみの人たちが多いみたい？

会計の段になって奥さんに、このまえ電話した者ですけど　と言えば　まあわざわざ遠くから・・・

美味しかったと礼を言い、随分と繁盛してるようでいいですね～。だけど、あの時電話で聞いた別れた亭主ってダレのことか？と聞くと　それがやっぱりあのマスター。

じゃ、まったく覚えてはいないけど、奥さんとは昔にお会いしてるんですね。

奥さんは小指を立て　「ダンナとはコレができて別れて、アチラは北白川に店を開いて・・・」

だけどあっちもじゅんさいっていう名前だった？

「そうです、新しい店じゃお客も来ないだろうと名前を貸したんです」

オレはいつごろ　元の「じゅんさい」に来てたのかと聞かれて、ポエマのあとに店ができて最初からと言うと、

「ポエマ！あそこの人と遠い親戚だったので　あそこで店をやらないかとハナシが来たんです」

と、ナゾも解け、また京都に来たときは是非寄ってください、と送り出され、

バスで出町柳に出て、聞かなきゃ読めない糺の森から下鴨神社へ。

５月の葵祭りゆかりの神社で、やはり学生の時にあの行列を歩いた時は　この葵の葉っぱの枝を烏帽子の耳からアゴに通ってる紐に差して、途中休憩でこの下鴨神社に寄ったときに、暑さでヘナッとなってた葵の枝を、新しいのと交換させられた。

ここの桜も　もう一息だなァ。

枝垂れ桜は咲いてるんだろうな。

初めての味。

高野川と加茂川がここで合流して鴨川となるデルタ地帯。

比叡山をバックに　トンビが飛び回り、オイっ　面白がってエサを投げるな、そこの・・・

バックに出町橋と比叡山。

３時か、そろそろ八坂神社のほうに行くかと賀茂大橋を渡って河原町方面に折れると　あのパチンコ・キングが解体工事中で空が広い！

８年前に来た時はまだ健在でヨシヨシと思ったものだけど・・・まあ建替えなら許せるけどな～。

四条河原町から歩いて八坂神社を目指し、高瀬川を渡る橋の上では　桜、満開じゃないか！

いいね～、やっぱり日本人は桜だな。

四条大橋の上から、サギが飛ぶのを見てるカップルを見てるオレ。

突き当りが八坂神社。

お目当てのしだれ桜、咲いてる！

お～、いいね～。

これで夜になるのを待てばいい。

ライトアップされ　かがり火が焚かれるのを期待して、

そのあいだに、清水寺まで足を伸ばそう。

ねねの道を行けば　高台寺。

たしか　ここにも枝垂れ桜があったな。

ちょっと寄り道して入った北政所ねねゆかりの方丈庭園に　まさに満開の枝垂れ桜。

傾いてきた陽に照らされて、いい時に来たな～。

更に石畳の道を目指せ清水寺。

てっきりあの塔が清水だと思いながら歩いてたら違うの？

ワケがわからんくなって車引きのアンチャンに聞けば、そこ行って左、入場料を払って入ってくださいって、どこの国の人だと思ったんだ？

この二年坂と、

三年坂を上がってくればよかったんだ。

それにしたってスゲェ人だな。

みるところ八割がたは海外の人のよう。

おう、ここだ。

拝観料５００円？

まえは１００円とか２００円じゃなかった？と聞くと、いつのころの話ですかと言われたが、５０年前や！

暮れゆく空と三重の塔、まさに京都慕情やないか。

♪あの人の姿　懐かしい黄昏の河原町～

お～い、飛び降りるなよ。

ここらの桜はあと１週間といったところか。

お地蔵様は、咲いても咲かなくても鎮座して、そろそろ八坂神社に戻ろう。

陽も大分傾いてきた。

枝垂れ桜の前は、相変わらずの人だかりができて、

はい、こっち見て・・・

日本語、通じねぇか。

手前の石垣に腰掛けて行き交う人を眺め、　早く暗くならねぇかなと思いながら、ウンッ？

かがり火を焚く鉄製の篭になんか貼ってあるな。

近づいてよ～く読めば、オイッ！

おまえ、なんのために重い三脚を担いで比叡山に登ってきたんだと思ってるんだよ。

向こうに陽が落ちて、

♪遠い日は二度と帰らない　夕闇の　夕闇の東山～

舞殿を飾る提灯は、花街の御茶屋さんや付近の料亭から奉納されたものだと・・・

四条通りのドン突きにある八坂神社の石段から　河原町方面を振り返って見た景色。

お茶屋さんの一力の前を通って、

四条大橋の上で、懐かしいバスとスレ違い、

♪あの人の言葉　想い出す　夕焼けの高瀬川～

高瀬川を渡り、四条通りを一本入った路地の「志る幸」で夕食。

白味噌に豆腐の碗に　炊き込みご飯を、さあ帰る時間だ。

また市バスに乗り、貼ってある一日乗り放題１１００円のポスターを見ながら終点の京都駅に着くと、

駅のガラスの壁に京都タワーが映り込んで、グッバイ・京都、またいつか来れたらいいな。

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