伸びすぎのカンスゲのシマシマを刈ると下からユキワリソウの葉っぱが姿を現わして、エライもんだね~ちゃんと咲く時期を知ってるんだな。
栴檀の枯れ枝でネコをじゃらしながら 早いな、もう1月もオワリかと つぶやけば ヨコから
「2月はもっと早いわよ」
ウルセ、1月のハナシをしてんだよ!
まあ2月は2月で、先のないジーさんとしてはちゃんと愉しみを作ってある。
去年も利用した、JR東日本 全線一日乗り放題1万円ポッキリ切符 通称キュンパスを取って、というかムスメにとってもらって、今年も青森日帰り旅行を予定している。
去年、青森に行くのならと真っ先にアタマに浮かんだのは、学生時代に行って泊まった五所川原の先の金木というところにある斜陽館。
しかし雪に埋もれた酸ケ湯でスノーハイクと混浴風呂のほうについココロが惹かれてしまい、今年こそはと発売開始を待ち構えていた。
斜陽館は学生時代に入れ込んだ作家太宰治の生家で、青森で一、ニを争う豪農だったという彼の父親が建てた大きな家は、 戦後の農地改革などで売り渡されて当時は旅館になっていた。
21歳だったからもう56年前の夏休みに友達と二人で利尻、礼文を廻り、札幌で別れ一人で青函連絡船に乗り、青森駅の場外市場でリンゴを一つ買って訪れた斜陽館。
玄関を入ったところの土間は異様に広く、金融業もやってたので金を借りに来る人や小作で米を収めに来た人たちが絶えず頭を下げていて、太宰はその光景を見るのが辛かったとなにかに書いてたな。
木製のりっぱな飾りのある手すりがついた階段を上がって通された部屋は、廊下の角っこの3畳くらいの鏡台が一つぽつんと置かれただけの小さな和室。
物音がしないのを確かめ仕切られていたふすまをそ~~と開けると、隣は大きな部屋で、なにやら描かれたふすまが目に飛び込んできて、なんだオレんところは女中部屋じゃないのかとひがみ根性丸出しだった。
他は食事のことも含めなにもかもおぼろげだけど、今度行って鏡台に写る顔は50年分 年を食ってウラシマタローもいいとこだろうな。ま、鏡台がまだあってのハナシだけど。
そうして、そのあとはあの時とおなじように次の芦野公園駅まで歩き、公園に建つ太宰が愛したヴェルレーヌの詩が刻まれた碑を見て、って もうまったくセンチメンタル・ジャーニーそのものだな。