というわけで、中央道を河口湖の方に折れると前方に富士山が見えてきて好天間違いなし、というか暑すぎるかも。下じゃ30度にもなるという予報に上着も持ってきてない。
都留で降りて20分、芭蕉月待ちの湯の駐車場にクルマを置いていざ・・・
この都留という地名、元禄11年に富士山ろくで遊んでいた白鶴三羽のうちの一羽が死に、それを下吉田の福源寺に葬り鶴塚を立て、これから都留郡の名が生まれたという説もあるが、ホントのところは朝鮮語の「ドゥル」野原を意味する語からきてるというほうが真実味がある。アノあたりには大昔に朝鮮から渡ってきた人たちが多く住み、ハマイバ丸とか白谷ヶ丸の丸も朝鮮語の古語の山を意味するというからな。
もっともこれは半分は、中央線で長いこと車掌を務めていた人が書いた「車窓の山旅」という本の受け売りだけど。
今週は手首とヒジ休めのため、ゴルフは休み。
温泉に楽しく入るタメに山に登って、と言う邪道というか本末転倒のハナシだが、劣えて行くばかりの足腰を鍛えるという密かな目論みもある。大体が腹に10kgのダンベルをつけて登ってるようなもんだからな。キツイけどトレーニングをしてると思や許せるってもん。
おかげで少しは飛距離も伸び、一緒に廻る同年代の人からも「なにかトレーニングしてるんですか?」と聞かれることもしばしば。
一番よいのは、途中でもうや~めたと言えない事。辛くてもなんでも歩かなければ帰れない。
頂上まで月待ちの湯から2時間ちょいで、今日はその先の赤岩というところまで あと1時間足を伸ばしてトレーニングに励むつもりで・・・
谷川の音だけが聞こえる山の中、ときどきウシロを振り返ってはクマがついてきてないか確認しながら、まあクマならいいけど、ヘンなのが見えたらヨケイに怖い。
ここはもう4度目?
最初に来た時に その直前に来た台風で流された丸木橋の残骸がいまだに見えて、
その上流に新しく架けられた橋も貫禄がでてきた。
とにかく今年に入ってから 鬼ヶ岳、黒岳、尾瀬、谷川岳、宝剣など経験した山ばかり、完全に守りに入ってる?道迷いの恐怖のトラウマからまだ抜け出せてない。
山の神に手を合わせ、なにやら甘い香りがすると思ったら、
桂の葉っぱだ!
いつぞやの晩秋の山に匂ってきたお菓子を焼いたような、メープルシロップのような香り。
あの時と違いまだ時期がはやいのだろう、それほど強くは匂わなかったが、
見上げると桂の大木がそびえて、
こっちにも。スゲェな。
甘い仙人水を口に含み、
今日の最終目的地の赤岩はグルリ360度周囲が見渡せる景色の良いところで、昔の名前を松山。
赤岩に名前が変わったワケは、あのあたりで松茸がたくさん獲れてバレるのを嫌がった地元の人が変えたんじゃないか?というオレ説。
途中途中で赤松を見かけてはじっと根元に目を凝らしてヨク丸出し。
このちっちゃいのは違うな。
この前は砂金がダメだったから、せめて今日は松茸の一本でも・・・
岩から生えているブナの木のヨコには落石注意の看板があって、足早に通りすぎるとシカの「ピュ~~イ」という警戒音が聞こえて カメラを向けるスキもあらばこそ逃げ去られた。
気温は20度。
Tシャツ一枚でジトッと汗をかくが、風が冷たく年寄りは身体を冷やしちゃいけないと上に長袖を着て、
あれか?
昔、二十六夜の夜には、麓の戸沢部落のジーサン、バーサンたちも酒やお餅を持ってこの山道をあがったんだろうな。
小さな山栗。
7時過ぎに出て、2時間半。
旧字の二十六夜の石碑の立つ頂上に到着。
謂れの看板が立ち、
山の名前が書かれた看板の向こうに 雪のない富士山。
むしろ雪のない方が稀有?
都留でおりたところのコンビニで買ったミカン。
まだ青いところが残ってるけど、スッパさの中に甘いところもあって、疲れが取れる。
一休みして赤岩に向け出発。ここも以前行ったことがあるから、道迷いのシンパイなし。というか一本道・・・
オッ、といっても松茸じゃない・・・
アキノキリンソウ。
二十六夜山より赤岩のほうが200mほど標高が高く、それを降りて登って登って降りて登って登ってだから感じとしては500mほども登り返すようだ。
トリカブト。
紅葉まえの端境期?初めて向こうから来た人と遭遇し、先の林道でユーターンして帰るといい、どちらまで?と聞かれたんで赤岩・・・
「この先は険しいところもありますからお気をつけて」と言われ、そんなにヨボヨボに見えるんか?
1時間半もかかってやっと赤岩到着。
左右の山の名前が大きく表示されて、赤岩は通過点扱いだな。
御正体山と鹿留山の間からカオを覗かせる富士山。
手前のあれが二十六夜山か?
空気が澄んでいれば遠くスカイツリーも見渡せると言う360度展望の効く山頂はそうそうない。
ヒョウモンチョウがヒラヒラ飛び、さあ帰ろう。
帰ってお風呂だ!
ブナの巨木を見ながら下っていると 富士山のほうからカミナリの音のような自衛隊の演習の砲弾の落ちる音が聞こえてきて、実弾が飛び交ってこの音を聞かされてる人は生きた心地がしないだろうな。
二十六夜山まで、両ヒザにサポーターを巻いた足でエッチラオッチラ辿り着いて「速攻元気」を流し込み、
また1時間下ってこの看板を目にし、オ~これで無事 帰れそう・・・
ペットボトル1本しか持って行かずにここ頼りで下りてきて、先ず両手で水を掬ってカオを洗い 三度目には水が冷たすぎてしびれるほど。カラのペットボトルに水を満たしてゴクゴク 半分ほどもイッキ飲み。
松茸じゃない。
ゴジラじゃない。
桂の大木の下、良い匂いのする葉でヤツの快挙を祝し、
砂金に続き、結局松茸もあかんかった。
滑り止めが刻んである丸木橋を渡って、
秋の陽がさす里で、モンシロ蝶を追いかけて、
結局7時過ぎに出発して3時半、なんだかんだ8時間も山の中をうろついてた計算になる。
サッ、お待ちかねのお風呂だ。
「名月の 夜やさぞかしの 宝池山」
の石碑が立つ芭蕉月待ちの湯の露天風呂に ふくらはぎや太ももを揉みながらゆっくりと浸かり、先の中央本線の車掌さんの本によれば、延宝8年(1680)門人鯉屋杉風の好意で江戸深川に庵を結んだ松尾芭蕉は、翌々年天保2年のいわゆるお七火事で焼け出されて疎開したのが甲州のこの辺りだったらしい。
帰り道、その宝池山正蓮寺にもお参りして、さあ帰るぞと乗った高速。
チラっと見えた名古屋方面の看板にそっちじゃないよなとハンドルを切ったら なんと河口湖方面!
反対もいいとこだけど カーラジオからは小仏トンネル渋滞とか言ってるし まあいいかとクルマを走らせれば、東富士五湖道路に入る料金所の上に暮れかかる富士山。
買ってきてと頼まれたブドウを談合坂PAで調達しようと思ってたけど、こっちまわりなら いつもダレかさんが言ってる須走り道の駅に行けばいいんじゃないか?だけど確か途中にはなかったような・・・一旦高速を降りるのかとハンドルを切ったら大正解!
富士山が見えるレストランと謳い文句が掲げられた2階の食堂に上がって力うどんを食い、ブドウ、売り切れ?じゃ栗で間に合わすか。
外を見ると、良い具合にたそがれてきて、いわゆるマジック・アワー?
道の駅の裏手に廻り、クルマのいない道路の真ん中に立ってパチリ。
来た!
ほんの10分くらいの光景を楽しみ、道を間違えて結果オーライ?
おみやげの栗と拾った山栗を差し出せば、こんな小さいのどうやって食べるのよ!