ウメ吉が我が家にやってきて一ヶ月。
最近は首筋をなでても目を閉じるくらいおとなしくなったが、抱こうとすると まだいやがって腕のあいだをスルリと逃げる。
時々、窓の外を見下ろしてはニャ~と鳴き、やっぱり外が恋しいか?
代わりに このごろ朝昼晩とやってくるのはちっちゃ目のクロ。
まだ外にいたころの梅吉がよくかわいがっていて、みんなのハナシによれば妹じゃない?
やってきては窓の外に座って待ち、食事が済めば またフラッといなくなる。
昨日の午後、梅吉の聞いたことのないようなネコなで声が部屋の外まで響き、何事かとドアを開けてのぞくと、
外の物置小屋の屋根にクロがいて、それを見て盛んに鳴いている。
もっともクロは、ふしぎそうに見上げるだけで そのうちどこかに行ってしまった。
梅吉も こんな部屋に閉じ込められてシアワセなのか?
食事だって三度、三度 昨日みたいな雨の日だって 濡れないで済むんだから・・・
むか~~し読んだ短編小説で、アメリカの南部に住む女性が開け放した窓辺に座り、毎日外を眺めながら夏の暑さをやり過ごしてた。うだるような南部の夏。その窓の下を毎日通りかかる北部から来た青年に恋をし 結婚して北部の青年の実家に行ったものの あちらの気候にも人にもなじめずに帰ってきて、また 前と同じように窓辺に座って 通りを眺めているというヤツ。
ふと気になり なんていう小説だったかと、久しぶりにホコリだらけの本棚をのぞいて いくつかのめぼしい本をパラパラしたがわからずじまい。
本棚を見せるというのは恥部を覗かせてるようなもんで、まあこのくらいにして、
梅吉はすっかりリラックスしてる様子だし、それでよけりゃいいんだよな。