御坂山塊の御坂山と黒岳に春の花を探そうと3月の終わりの日にメイの子供を誘い、東名足柄SAでマグロ茶漬けを食って さあ行こうぜとブンッと踏み込んだら御殿場を通リ過ぎてしまい、釣りに来てんじゃね~ぞとブツブツ言いながら沼津長泉をユーターン。
いつになったら出来上がるのかと気をもんでる東富士五湖道路に通じる道を行き、
河口湖大橋を渡り、御坂みちをクネクネ走って予定より40分遅れで 天下茶屋まえから7時40分スタート。
3年前の秋に同じルートを歩き 「この辺りに可憐な花々が自生している」という看板を目にして 是非春に訪れたいと、今年の花は全体的に早いというし、できればカタクリなんか咲いてたら最高だと思ってたところだったが・・・
直ぐに太宰の「富士には月見草がよく似合う」の碑があり メイの子供に太宰、読んだことあるか?
「教科書に 走れメロスが載ってたくらいかな?」
さっきの天下茶屋に滞留して書いた富岳百景や津軽とか右大臣実朝はいいけど あとはロクなもんがないからな。
あっ、かもしか!
じっとこちらを見て動かない。
不審者じゃないぞ。
♪見つめあうと 素直にお喋りできない~
やがてさっと身を翻したが
また立ち止まって、名残惜しいんか?
尾根に乗り上げ、
ここで金が獲れたか?
苔はあるけど 花がなんにも咲いてないじゃないか!まだ3月だからか?
「といっても終わりだけどね」
でかいブナの木を見上げて、
富士山と、下にみえるのは河口湖。
気持ちいいな~。
こういう春先の陽気が、寒いところで育った者にとっちゃ一番の季節だ。
1時間ほどで まず御坂山到着。
メイの子供は半そでに もうオニギリ食って 食欲旺盛だな。
その先に絶景ポイント。
「電線がジャマ」
それを言っちゃ・・・
結構アップダウンを繰り返しながら、城好きのヤツが 「地図に御坂城址って書いてあったけど、これ堀の跡じゃない?」というのを城址ったって今はなんにもないぞ。しかも もっと下った先だからこんな上に堀があるわけないだろ。と気にしなかったけど、
御坂峠に着き、消えかかった案内板を読むと、
「甲斐国志」による御坂城の名は幻の城として不明のまま忘れられていたが、昭和四十三年に城に関する古地図が発見され、その結果驚く程の規模の山城遺構が発見された。山城として鎌倉街道御坂峠の頂上を中心に上記の規模で稜線を囲んで塁壕を持って構築されたものである。古くは鎌倉街道の要所として、国中地方を守る山砦であったものを戦国動乱の時代、北条氏が甲州侵攻の拠点に拡大修築したものと言われている
そして掘割は東西700m、南北500m以上に渡って作られてたってあるから、さっきのは堀にマチガイないよ。
武田が作り北条に獲られてその後の徳川の平和な治世になって忘れ去られたというのが「幻の城」といわれる所以か。
城跡といわれる御坂峠に ポツンと地蔵が置かれて、
その先の左に登山道が伸びる右下に、そういわれて見れば 堀に間違いない!という景色。
シカの毛?
かもしかかも・・・
これだよ。これに惑わされてきたのに スミレのひとつだって咲いてないじゃないか まだ三月だからか?
「明日から四月だけどね」
「黒岳、まだ~?ココロが折れそうになるよ」
惑わされるだろ。偽ピークっていうんだよ。
「もう偽ピーク3ッも越えたよ」
着いた。黒岳 標高1793m。
3年前に来たときより相当疲れ オレもその分 歳をとったからな~って思ったけど、前回は3時間半、今回は3時間でクリアー。やっぱり二人連れだとミエはって休みもそこそこにしか取らないからな~。
その先をちょっと行くと富士山を見渡せるところがあり、メシじゃ!
右手に南アルプス。
赤石岳も登っておいてよかったな~。眺める気分が違う。
そのあたりの山は、ほとんど行ってるな。
富士山は拝む山。
帰り、岩場もあって落ちるなよ!
来る時に見落とした名札。誰かがご丁寧につけてくれてるのか。
御坂峠の城跡まで戻り、そこに建つ廃屋を覗くと
山小屋だった?
テーブルに布団まであったけど、ここもいずれ朽ち果てて幻の山小屋といわれるようになるのか?
しかし 花がなんにもないじゃないか。高尾山のほうじゃ沢山咲いてるって読んだけどな~。まだ3月だからからか?
「明日はもうエイプリルフールだよ!」
石楠花もまだ硬いツボミ。
太宰の石碑まで戻ってきて裏面を見ると 師匠の井伏鱒二の追悼文が・・・
クルマを停めておいた天下茶屋で「きのこほうとう鍋」
冷えてきた身体が暖まっておいしく、
建物の2階の太宰の記念館を見物。
「桜桃」の初版本 オレも持ってる。
2階の窓から太宰も眺めただろう富士山と河口湖を見て、メイの子供に どこか日帰り温泉を探せよと言ったら「河口湖ロイヤルホテル」?
「露天風呂もあるって」
なんか怪しそうだなとおもった通りの雰囲気だったけど 900円で 他にだれもいないお風呂にゆっくり浸かり、行き返り3人に出会っただけの静かな山道、まあ花は見れなかったけどカモシカに会えたからいいかと帰ってきたのでありました。