登山口にあるペンションに電話して聞くと ノーマルのタイヤでも大丈夫だというし、それに二、三日したら また雪が降るっていうから 今のうちだなと 勝沼インターを降りて もう7回目になる牛奥ノ雁ヶ腹摺山登山。
読みからいくと「ウシオクノガンガハラスリヤマ」 で 日本で一番字数が長い山。
山登りを始めて4回目に登った山だが そのときに道迷いし 雪の藪の中を1時間も彷徨った挙句 幸運にも元の道に戻れた経験から愛着が湧き、毎年この時期に訪れている。
歩き始めればうっすら汗をかくほどだが、鼻水が垂れて 気温は相当低いな。
それより、なんだよこの天気。
天気予報も言ってることがまるっきり違うじゃないか。
昨日までは晴れ時々曇りって言ってたのに、今朝のラジオじゃ曇りで ところによっては晴れ間ものぞく?
ま、降らないだけマシか・・・
目指す山の頂上付近には雲?雪雲じゃね~の。
林道歩きで見上げるヤドリギも この空じゃ冴えない。
チェーンスパイクは持ってきたが、 雪は日陰だけだし まだ履くほどじゃない。
植樹をした中は網で囲ってシカの被害から守っている。
その中を登山道が通っているので 網を開けて入り 出るときもしっかり閉じて・・・
他のダレかが通ったかわかるように 忍者のマネして 竹の小枝で目印。
というのも去年は丑年で 名前に牛がつくこの山が大人気となって登山客が押し寄せ そのおかげで今まで好意で停めさせてもらっていたペンションの駐車場も 500円を徴収するようになったらしい。
寅年になって 少しは落ち着いてきたのか確かめよう。今日当たりの平日でこんな天気じゃ他に登ってくるヤツなんかいないだろ。
シカ柵を出たすぐ上の切り株で一休み。ここまで1時間、いつもこの切り株で一息入れるところだ。
今の時期は 見渡しても花も紅葉もないけれど、夏に来たときは そのあたりに薄紫のヒメシャジンが咲いていたな。
細かいのがパラパラ降ってきて また雪?
木の皮がめくれて 落ちている。シカやウサギのアレも落ちてたけど 掲載自粛。
倒れた木の幹が風雪に磨かれて こんなの都会に持っていったら高く売れそうだけどな。
谷から冷気が上がってきて 帽子の耳宛を下ろし、しかし この空はアテが大ハズレだな~。
樹氷?寒いわけだ。
パノラマ岩到着。
細かい雪が岩に付いて、今しがた降ったものか?
岩の上に登っても どこがパノラマじゃ!
この木の間からは 富士山が見えるはずなのに・・・
ここもマイナス10度。
手袋は帰って洗濯してもらったあと、必ずリュックの小さいポケットに入れるようにしている。
これを忘れたんじゃ死活問題。
この景色を見たくてこの山に登るようなもんだと言っていいシラビソの縞枯れ風景も この天気じゃな。
東山魁夷か!
文句を言っても始まらね~と 途中で履いたチェーンスパイクをザクザク言わせながら進むと、
おっ、太陽!
福寿草と同じで 待ちわびた陽の光に
雲も流れ 青空も見えてきた。
いいぞっ!
ほんの一瞬の出来事。
振り返ると、桜並木かと見まごうばかりの樹氷並木が見渡せて
これが 風が吹くとバ~~と舞い、ということは 今この時間だけの現象?
青空をバックに 言葉を失うほどの光景。
ダレだ?さっきまで文句タラタラだったのは・・・
・・・
頂上の看板が見える。
標高1990m。
雁がこの山の頂上を飛び越えるときに お腹を摺るほどの高い山というイミの牛奥にある雁ケ腹摺山。
スマホは ちょっと手前でまたシャットダウン。きっと寒さのせいだろ。
というわけで 時間がわからないけど おおよそ2時間半かかって 7時に登り始めたから9時半ごろ?
向こうに見えるのは黒岳。
一口かじったバナ~ナで乾杯。
こんな景色を見ることができたし、今日はもういいだろ。
縞枯れの林を降りていると 第一山人と遭遇。
どこから?と聞かれ ”ウシオクのピストン、上は樹氷がきれいですよ”と イッチョマエの受け答え。
パノラマ岩では、大菩薩が見え、ずんずん下って
シカ柵でウンッ?あいつ どこ通ったんだ?
最初に迷った時は、登ったぞと有頂天なって ジグザグの道をショートカットを繰り返しながら降りてきてアレっ?だったからな。アレ以来 基本に忠実に バカなマネはやめて ゆっくり・・・ゴルフのスイングと一緒や。
ヤドリギはやっぱり青空が似合うな。
花屋で買えば一個3000円はするってマシュさんが言ってた。
カラマツ林にも陽が差して
さ、もう少し・・・
氷結した流れの脇に、山あじさいの立ち枯れ。
ペンションすずらんに戻り、駐車場代500円を払おうと差し出しても いいですと どうしても受け取ってもらえない。
すっごくうまい蕎麦をご馳走になり、イヌのオミヤゲに手作りのシカのジャーキーを買って車に乗り込めば
奥さんが追いかけてきて 山ぶどうのジャムをプレゼントしてくれ 上機嫌で日の当たる林道を下って
いつもの天目山温泉で汗を流して帰ってきたのでありました。
シカの角?あれは拾った・・・んじゃありません。