今週はずっと晴れていたが、テンクラの予報は山登りに適さないの「C」ばかり。つまり寒冷前線の影響で山は昼頃からいつも強風が吹き荒れるというものだった。

それが今日は一日中「A」になり、なにも世間の皆が出かける土曜日に行かなくてもと思ったが、もうこの歳になると行ける時に行っておかないと後悔するハメになる。早く行って渋滞する前に帰ってこようとまだ暗い5時まえに家を出て、都留インターを出ようとしたら目の前に真っ白い富士山が姿をあらわして、いいぞ!

 

 

 

芭蕉月待ちの湯の第二駐車場に車を停め、二十六夜山目指してスタート。

ここは3度目。3度目なら少しは上手に器用に、去年はコロナの影響で月待ちの湯の開店時間が12時、1時間も待てないとさっさと帰ってきたが、今日は ちょっと上でのんびりして開店時間に合わせようという作戦。山登りが主だか温泉が主だか本末転倒・・・

 

 

 

今年一番に冷え込んだという朝、車の温度計は1.5度だったが、歩き出せば予報通リ風はまったくなく寒さは感じない。しかしこういうトウセンボも、70過ぎるとなかなか厄介、どっこいしょと乗り越えて、

 

 

 

まあ、ここから2時間だな。勝手知ったる道だし、ちょっと登るには最適な山だ。

 

 

 

リボンもあちこちに垂れて、去年よりも行き届いている。

 

 

 

初めて来た二年前に、その年の台風で流されて新しくなってた丸木橋は貫禄がでてき

 

 

 

その先にもある丸太橋を渡り、いよいよ山の中に突入。

 

 

 

そもそも二十六夜とは、陰暦の正月と7月の26日の夜のこと、

その晩に月の出を待つ二十六夜待ちという江戸時代からの行事があり、ここの村人達は 明け方近くの月の出を待ちながら、山頂で飲食をともにして道志山塊から上がる三日月を拝む風習があったとかで、昔から民間信仰の山だったのか。

 

だが、この山を花の百名山に選んだ田中澄江の深読みは、都留市周辺の隠れキリシタンが二十六夜にかこつけ、仏を拝むと称して秘かに山上に集まり、マリアへの祈りを捧げたのではないかというもの。

 

 

 

あ~、気持ちの良い空気だな。折れた肋骨の治りも良いだろうと新鮮な空気をムネ一杯に吸い込み、

 

 

 

昔の坊さんが修行したというカッチャ石を過ぎて、

 

 

 

勢いよく出てる仙人水でのどを潤す。

 

 

 

岩から生えてる3本のブナの木を通りすぎ、これホントに道なのか?あたりを見回して そっちじゃね~か。枯れ葉が道を覆ってるから、やけにふわふわしたところに踏み込んでマチガイに気がつく。

 

 

 

朝日が当たって、残りの紅葉がキレイ!

 

 

 

やっぱり青空に似合う。

 

 

 

かかとが上がらないから、ザッザッとはいかずザ~ザ~と行く枯れ葉の道。

クマ鈴はなくても、この音を立ててればクマは寄ってこないだろ。

 

 

 

1時間以上経って、

 

 

 

やっと尾根筋に乗り上げ、

 

 

 

あそこに見えるのが二十六夜山だな。

 

 

 

サイゴの急登を20分ぐらいあえぎながら登って、例の石碑が見えた。

と思ったら切り株かよ!

 

 

 

それから10分して、今度こそホンモノだよ。

 

 

 

廿六夜と彫られた石碑。

 

 

 

 

そうして、頂上から見えた富士山には雲ひとつなく、

 

 

 

太宰なら、こんな風呂屋のペンキ絵みたいな注文通りの富士とかイヤミの一つも出るとこ?

だが、家をでて4時間でこんな景色が見れりゃ文句も言えない。

 

 

 

仙人水で水を飲んだっきりでペットボトルは一口もクチをつけずに来てしまい、ソンしたなァ。

前回のスマホの電池切れを心配して、ムスメが充電器を持ってったほうがいいよと出してくれたのを こんな重いの持ってけるか、なるべくリュックを軽くしたいんだからと拒んで 遭難したって知らないよと憎まれ口を叩かれたが、ムダに重かった麦茶の半分をその辺にバラまいてから、まずい、立ちションしたあとだと思われる・・・

 

 

 

 

ナニの作ってくれた焼きおにぎりを完食し、

 

 

富士の反対側はいつも雲の中で、3回目にして初めてみる景色。

 

 

 

富士山のずっと右手には南アルプス、あの見覚えのある山の形は赤石岳だな。

 

 

 

御正体山と杓子山の間にそびえる富士山。

今9時か、風呂が開くのが12時。あと1時間は 時間待ちでここでゆっくりしようと 高速を降りたところのコンビニで買ったスポーツ新聞には、野球の結果は7回までしか載っておらず 暖かい日差しにそれを敷いて寝転びウトウト。

 

 

 

目の先の日当たりの良いところにリンドウのツボミ、今の時期、この山で唯一の生の色だ。

 

 

 

2年前は帰り道で一人、去年はダレとも行き会わなかったが 今日は好天もあいまって 寝転んでるところに 右と左からぽつぽつと人が登ってきて 「良い天気ですね~」

この山は縦走路の途中にある。

 

 

 

靴紐を締めなおして さあ、降りるか。

枯れ葉は靴を覆い隠すほど積もり、小またでそれを蹴散らしながら それでも隠れているくぼ地や根っこにときどきつまずいて あぶね~。

 

 

シャツとジャージ2枚、ジャケットは腰に巻いて・・・

 

 

 

下りは慎重にカカトから着地しても滑るところがあり、上を見てる場合じゃない。

 

 

 

大往生の、まるで瀬戸内寂聴みたいな木だな。

彼女も 昔風の数えでいうと100歳になったと書いて、100歳にはこだわりがあったみたいだけど、99で奥ゆかしく逝って良かったんじゃない?

 

 

 

小春日和の暖かい陽だまりに、しじみ蝶かと思うような小さな蝶が飛び 止まって羽を拡げたところをパチリ。なんだこれ?見たことのない模様に さっそくグーグルレンズでチェックすると、

 

 

 

 

テングチョウだよ。

名前を聞いたことはあったが見るのは初めて、たしかに天狗のようにアタマの部分が長い!

 

 

 

 

オレのバカの大足より一回り大きいホウの葉を踏み、

 

 

 

ペットボトル一杯の仙人水を汲んで、ナニに焼きおにぎりのお礼のオミヤゲ、安上がり?

帰ったらいらないといわれたけど・・・

 

 

 

2年間に流された丸木橋の残骸は いまだにそのまま。

 

 

 

そうして2年越しの湯に浸かり、露天風呂の脇に立っている芭蕉の句碑、

「名月の 夜やさぞかしの 宝池山」

この句から、この湯の名前も付けられたというが、

”今夜は名月の晩ではないが、この宝池山の月はなかなか素晴らしい。これが名月の晩だったら、さぞかし見事な眺めになるだろう”

 

2年前、この湯に浸かり 地元らしい年寄りに この宝池山というのはどこにあるのか?と聞いても 「さァ~?」

風呂の受付のおばさんも、「帰り道の途中の左手に見える低い山らしいですよ」とはっきりしない。

クルマをソロソロと走らせながら 丁度農家の庭先に出てきたジーさんに聞くと、それは山の名前じゃなくて、お寺の山号だと・・・

 

 

 

あのとき工事中だったお寺は、額もきれいになっていて、

 

 

 

寶池山正蓮寺。

1時前に中央道に乗ってスイスイ、予定通りに帰ってこれたというワケでありました。

 

 

 

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