台風が行って好天気間違いなしという週初め、いざ燧ケ岳に登らんと東北道を遡り 那須塩原インターまで快走。

芭蕉は 「予もいづれの年よりか、片雲の風に誘はれて、漂白の思ひやまず・・・」と奥の細道の旅に出たが心境としては同じだな。

今夜は桧枝岐の宿に1っ泊し、明日登る予定でインターを降りて塩原温泉郷を抜ける。

 

 

まだ入社したての若いサラリーマン、上司に連れられて入った銀座のクラブでついた少し年上のホステスに  酔ったから私のクルマを運転して送ってくれと頼まれ、全然酔ってる風には見えないけれど、どんなイヤなことがあってそんなに飲んだんだ?

2,3度通ううちに 今度は少し長い距離の運転を頼まれ ほとんど会話もせず東北道を福島まで。ちょっとした都市の駅前のホテルに一人で入り、彼女は3時間ほどして戻って、離婚が正式に決まり相手の両親に挨拶を済ませてきたと。それまでの正装をジーパンに着替え、クラブのクリスマスのパーティーで当たった那須塩原の温泉ホテルで雪を見ながら正月を過ごし、東京に戻った4日の朝、彼女はベーコンエッグにマーマレードを塗ったトーストを用意して、ささやかな出発の朝を迎える、というような片岡義男の小説「マーマレードの朝」なんか思い出しながら、

 

 

 

ハラへったな。県道沿いのソバ屋で天ザル。

大根の輪切りの天麩羅が珍しくて、おいしかった。

 

 

ちょっと行くと道路沿いにテント小屋が並んでいて、マツタケ!でかいなこれ。

何万もするのは手が出ないけど、左の小ぶりなのを¥4,500でお買い上げ。

 

ちょっとゲスなこと聞くけど、このあたりは放射能の影響ないの?

「南会津のほうは、ちゃんと検査もしてるし大丈夫です。もっとアッチ側は まだいけないところもあるらしいですよ」

 

汚染水海上放出反対などと書かれた看板も目にして、あれから10年も経つのに まだ福島は傷んでいる。

 

 

つり橋に寄ったり、

 

 

 

赤蕎麦畑を見つけりゃ わざわざクルマを停めてパチリ。

 

 

 

日帰り温泉、窓明の湯。広い駐車場にクルマの姿はなく、やってるのか?

受付にオバちゃんが一人ポツネンと座っていて600円です。町民は半額以下。顔見りゃ町民かどうかわかるのか。

ちなみに窓明の湯というのは近くにある窓明山から?そんな山、スーさんだって知らないだろ。

 

 

 

 

看板が立ってりゃ立ち寄って、

 

 

 

屏風岩?ネーミングは平凡だ。

 

 

 

陽が落ちる頃、いよいよ尾瀬入り。

水芭蕉をかたどったシルエットの上に陽が沈み、向こうに見えるのは燧ケ岳?見る方向で山の形がぜんぜん違うんだな。

 

 

 

 

桧枝岐村の歌舞伎場。

50年以上前、入ったばかりの会社の社員旅行で桧枝岐に来たが、ここに寄ったかどうか定かではない。飲む打つばかりの連中には、興味がなかったかも。

 

 

こんな山奥の秘境に、こういうところがあるというのも面白い。

信州の山奥にも似たようなのがあり、昔、江戸で見た歌舞伎を農民が見よう見真似でやったのが始まりとか。舞台を囲むように三方に石段の桟敷席がある。

 

 

檜枝岐歌舞伎写真

 

村のホームページより借用。

 

 

 

神社の能書きには、燧ケ岳の頂上に大権現が鎮座してるというから、明日拝もう。

 

 

 

今夜の宿、七入山荘。

オレ、明日登って ヨコハマまで帰る自信ないから、もう一泊できないかと頼んでも あいにく明日は満室・・・早く頼んどきゃよかった。

まあ、来る途中には温泉も宿もいっぱいあったから、どうにかなるだろ。

 

 

岩魚の塩焼きに、手前は刺身。右上の鍋の肉は固く、クマかと思ったら牛肉かよ。

 

 

 

 

5時起きして、燧ケ岳の裏の御池駐車場まで10分、ぬかるみが多いと聞いてゲイター、まあ昔で言えばゲートル、今風ならロングスパッツ?を履いて明るくなりかけた5時半スタート。

 

 

 

青矢印からスタート、予定では燧ケ岳頂上まで3時間半、相耳峰の二つの頂上の往復に1時間、長英新道を下って赤の長蔵小屋まで3時間、そこから黄矢印の沼山峠まで1時間、沼山峠からは専用バスで御池駐車場まで戻る予定で、いざ!

 

 

 

ごろた石の登山道を快調に行けば、1時間もしないで

 

 

 

広沢田代という湿原に到着。

朝日が射し草紅葉の湿原を独り占めは、思い切って来てよかった~。

とりあえず、昨日高速のPAで買ったアンパンとクリームパンで朝食。くるみパンが欲しかったけど売り切れ・・・

クリームパンは本日中にお食べくださいと言われたが、朝早いから本日中のうちだろ。

 

 

木道はかなり年季が入っていて、よそ見して歩いて捻挫でもしたら一巻のオワリと慎重にやり過ごし、

 

 

 

いわゆる池塘、こういうのが見たかったんだ。

 

 

 

 

秋の空、雲を見上げながら気持ちの良い登山道。

 

 

 

もう5合目?

しかし、ここで気を緩めちゃダメ。これからが本番。

 

 

 

ざれた道を上がって、

 

 

 

壊れた木道に腰掛けて休んでいた同年代風の二人に 登ったあとはどこを降りるのかと聞かれ 沼山峠まで行ってバスで駐車場まで戻るといえば、「あっちは10時間コースだよ。自分達は途中の長蔵小屋で1泊する」と福島訛りで聞かされて ちょっとココロが折れそうに・・・

 

 

Vサインの雲を見上げながら熊笹の道をエンヤこら、

 

 

 

予定通り3時間半の9時過ぎ、片一方の頂上 俎嵓 (まないたぐら)到着。

最近は、コース時間にあまり遅れることがなくなってきた。

右手に燧大権現が鎮座、奥に見えるのが柴安嵓(しばやすぐら)。谷川岳とおなじようにここも相耳峰だ。

足に泥よけのゲートルを履いてる写真を撮ってもらい、あっちのほうが10mほど高いもう一つの耳までもう一フンバリ。

 

 

 

下って登って・・・長英新道の降り口は俎のほうからなので、また下って登って戻らなければならない。

 

 

着いた。標高2356m、東北一の標高。

これより北に、この頂より高い山は 北海道を含めて日本にはない。それだけでちょっと感激ものだ。

 

 

 

眼下に尾瀬沼が光り、青い山なみの上に やや アレは富士山?

初めてスマホにヤマップを入れて道迷いしないようにやってたのに、低電力モードにするのを忘れ、頂上手前でもうすぐ電源が切れます。ヤバイとすぐに電源オフにし、

 

 

 

残っていた少しの電力で スマホのカメラを目イッパイ拡大して撮った富士山。とんがった山の右上にうっすらと雄姿が拝めるだろ?

神奈川、東京、埼玉、群馬、栃木、を跳び越して福島からでも富士山が見えるのか、すげぇな。

 

 

山荘で握ってもらったおにぎりはでかすぎて1っこしか食べられなかったが、リュックは幾分軽くなった。

しかしこれを撮ったら電池が完全になくなってシャットダウン。

これ以降は時間もわからない手探り状態・・・

 

 

 

振り返ってマナイタグラ。あそこまで戻ってから下山だ。

 

 

 

ヨコのおじさんに、尾瀬のもう一つの名峰 至仏はどれかと聞いて教えてもらったのが尾瀬湿原の向こう、写真の真ん中に聳え、いつかあっちにも登らないと・・・

 

 

サア、帰るぞ。

長英新道の曲がり角。

 

 

紅い実はナナカマドか?

 

 

沼山峠発のバスは30分おきに出ていて、最終は5時。

まさか、それまでには間に合うだろうが、

 

 

 

すれ違った人、何人かに今何時かと聞くと、皆親切に教えてくれたが、

 

 

 

時間というものは、自分で思ってるより 進まないものだな。

まだそんな時間かと 何回も安心した。

 

 

先ほどまでいた頂上が、もうあんなに遠く見えて、

 

 

 

この黒い筋は、火山灰?この山も、あの頂上がいくつもに割れているのは噴火の痕跡だろうな。

 

長い長い長英新道の下り。

まあ、7月に檜尾尾根を5時間近くかかって降りた経験があるから なんとか持ってるが、いろいろなことがアタマを巡る。

 

 

原発事故のあと世の中は原発ゼッタイ反対、自然エネルギー、クリーンエネルギーへと一斉に舵を切る中、あの頃まだ生きてた吉本隆明は、原発は人類が積み上げてきた科学の成果、自動車だって事故があったからといってなくしたか?太陽の光熱は核融合、元をただせば

この世のエネルギーは原子や核の力なのに、それを異常に怖れるのはおかしい。文明の発達は常に危険との共存、科学技術は失敗と挑戦、改善の繰り返しだと言い、ここで反原発となったらヒトはサルに戻るといって物議を醸したが、言ってることは一理あった。

 

 

 

水は650mlの麦茶とその半分のお~いお茶のペットボトルをリュックの両側に挿してきたが、ほとんどを飲み干し、お~やっとこの分岐にきたか、ここちょっと行けば長蔵小屋で水が飲めるとサイゴのお茶を飲み干し、一息ついてると、尾瀬沼を周遊してるらしい白髪アタマの女性が来たので また時間を聞き、これ 左に行くと長蔵小屋ですよね。

 

 

エッ?違う?改めて 二人で地図を眺めると反対じゃん。聞いてよかった~、思い込みもはなはだしいな。完全な水切れ状態で、

 

 

 

それでも絶景に癒されながら、沼山峠は左、長蔵小屋は右、小屋の屋根が見渡せて 寄り道になるけど、なんたって水だろ。もう一息で水にありつける・・・

 

 

 

のどが渇いていても、こういう景色ははずせない。

 

 

 

長蔵小屋に着き、小屋の前の日陰のベンチに陣取って C・Cレモンとソルティーライチにハーゲンダッツのバニラ。計1150円なり。

C・Cレモンを一気飲みし 一息ついたところに ついと影を落としたのは

 

 

アサギマダラ!

よく来たと歓迎してくれてるのか?

 

 

 

さあ、あと1時間歩けばゴール。

一昨年、水上の方にゴルフに来た帰りに寄った尾瀬で見上げ あこがれたのと同じ形の燧ケ岳が見えて、

 

 

木道をまたテクテク、3時か3時半のバスには間に合いそうだが、問題は今夜の宿をどうするかだな。

 

 

 

 

しかし、同じに那須のほうに戻るというのも芸がない。

ヨコに乗ってるのもいないし、いっそ新潟の小出のほうに抜けるか。

どこかやってる温泉でもあるだろ。

 

 

 

沼山峠。

山や峠と名前にあるように、木道を抜けると微妙に登りの続く山道を1時間かかってようやくバス停留所。次は3時半発 御池駐車場行き。5時半に出たから やっぱり10時間コースだった。

 

 

 

御池駐車場でゲートルと登山靴を脱ぎ、ナビを小出インターにセットし、それまでの途中で泊まる所を算段しようとしたが行けども行けども山の中、アッ建物があると見えたのには清四郎小屋の看板がかかり、ベルナーママさんが言ってたところじゃないか?ちょうどいいやとクルマを停めたが、正面に本日休みのたれ札・・・

小出インターまで70km、60kmの表示は盛んに出てくるがすれ違った車は2時間あまりでたった3台。聞き覚えのある銀山平を抜け、よくこんなところに道を作ったなというようなクネクネ道、滝雲、雲海がみえるビューポイントはあるが泊まれるような というより建物じたいがない。そのうち小出の街につき はずれのほうからインターに入ってしまって しょうがねぇ、帰るか。ここで捕まっちゃ元も子もないとうしろを見い見い、スマホが電池切れで何歩歩いたかも不明だけど 夜の10時前、無事に帰ってこれたのでありました。

 

 

 

 

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