九州地方の水害の恐ろしいTV映像をみるにつけ、子供の頃にさんざん言われた水の怖さを改めて感じさせられる。生まれ故郷を流れる天竜川は、昔は”あばれ天竜”と呼ばれ 下流にダムができてからは たびたび氾濫をおこすようになっていた。特にふるさと辺りは峡谷で川幅が狭くなり ちょっと大雨が降るとすぐに水かさが増した。
じーさん、ばーさんの家の近くに天竜橋という赤い橋がかかっていて、大水が出たといっては よくじーさんのあとをついてその橋の上から 渦巻く濁流を見てたものだ。普段は下の河原から見上げるように高い橋だが、
そういう時は、河原もなにもかも姿を消し、橋の下スレスレを音を立てて水が流れ、時に丸太なんかが流れてくると橋に当たるんじゃないかと恐怖を覚えたもんだ。
あちらじゃ月遅れの七夕が済むと、短冊のついた大きな笹を担ぐじーさんのあとを お供えものを持って橋まで歩き、丁度真ん中あたりで 川にそれらを投げ込むのだ。上流側に投げ、反対側の手すりまですっ飛んでいって見えなくなるまで見送った。
度重なった水害のあと、砂防水防対策が施されて 近頃は天竜川の水害を耳にしなくなり、ちょっと前に故郷を訪ねた時には、なつかしの天竜橋も すぐ横に新しい橋に付け替えられてたな。