いつといって悪い季節はないけれど、わけても四月五月は良い季節、と昔の詩人が歌ったが 今年の四月五月は、なんとミゼラブルな月になるのか。
冷たい雨の降る中、早めに会社を退出すれば 花屋の店先にフリージアが飾られて こちらまでその香りが漂ってきそう・・・
新橋で会社勤めをしていた頃、お世話になってる先輩が入院したと聞き 手ぶらもナンだと新橋駅前ビルの平和相互銀行のヨコにあった小さな花屋に寄り、病気見舞いに行くんだが何かみつくろってと頼めば これが香りもいいしと包んでくれたのがフリージア。
先輩といっても会社は違っていたが、毎晩のように寄っては碁を打ったりマージャンしたり、中部銀次郎に会わせてくれたのも、連れてってくれた新橋の小さなバーだった。
いつもパリっとした紺系の背広にシックなネクタイだったのに、病室に入るとパジャマ姿でヒゲが伸びていて ひどく違和感を感じたが、持ってったフリージアを渡すと 花瓶がないからと 部屋のスミの洗面台に水を溜めて置き、いい香りだととても喜んでくれた。
みんなとっくに死んじゃったが アレは、今頃の季節だったんだな~。
柿の木の根元に白いシラー・カンパニュラータ、
青いカンパニュラータも、カラスノエンドーと一緒に伸びてきて 鐘のカタチをしてるからカンパニュラータね。
これでもかと化学肥料をぶちまけたデルフィニュームの苗、つぼみのカタチがイルカそっくりのラテン語でドルフィンのイミ。なんでも名前の由来を知りたがるクセ?
その奥には、これからいつ食糧難がきても耐えられるようにスイカとメロンとカボチャの苗を植え込み、
戦時中か?